業務委託先の不法行為によって営業収入が失われたとして、ゲームやアニメ業界などの求人広告を手がける会社「ビ・ハイア」(東京、清水有高社長)が、委託先の男性に約630万円の損賠賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
12月21日、この裁判の第1回口頭弁論があったが、男性側は代理人も含めて出廷せず、訴えの内容について補足説明を求める書面が提出された。
ビ・ハイアをめぐっては男性らが10月、清水社長からパワーハラスメント(パワハラ)を受けて賃金が支払われなかったなどとして別の訴訟を起こしている。
訴状によると、ビ・ハイアは仲介会社を通じ、この男性に営業の代行業務を委託。男性はゲーム会社など数社に対して営業をしたが、ビ・ハイアに内緒で個人的に仕事を受注、2015年から2018年にかけて計約570万円の報酬を得たという。
男性は仲介会社との間で、ビ・ハイアの業務と競合する別の仕事はしないとする契約を交わしていたと、原告側は主張。男性が個人的に受注したことは契約違反にあたり、そうした不法行為によってビ・ハイアが得るはずだった利益が失われたとしている。
男性の代理人を務める深井剛志弁護士はハフポスト日本版の取材に対し、「請求内容に不明な点が多く、現段階ではコメントできない」とし、原告側の回答を受けて反論する考えを示した。
仲介会社も12月19日、男性らに損害賠償の支払いを求める同様の訴えを東京地裁に起こした。
「パワハラ」主張、社長は否定
男性は10月、清水社長からパワハラを受けたなどとして、ビ・ハイアと清水社長に未払い賃金や損害賠償の支払いを求めて提訴した。
原告メンバーとして、同じような業務委託契約を結び、2月に自殺した女性の両親らも加わっている。原告は訴えの中で、女性の自殺もパワハラが原因だったと主張している。
清水社長はハフポストの取材に対し、今回の訴訟は「被告(男性)から提訴されたこととは全く関係なく半年ほど前から準備していた」と明かし、男性らに対する報復ではないことを強調した。
一方、パワハラがあったとする男性らの主張については「男性側は奴隷的拘束を受けていたなどの主張をしていますが、事実と異なります。今後、証拠を提出して裁判所にきちんと判断していただきたいと思います」と争う方針を明かした。