最近あるテレビの取材で、「障害者にとっても良いスポーツ施設はどんなもの?」という質問を受けました。2020東京を見据えての質問だと思いますが、改めて考えてみました。
一般に多くの施設に、車椅子席・身障者席が当たり前に完備されています。しかし、誤解を恐れず申し上げれば、使ってみて心から満足できる空間は非常に少ないと思います。
例えば、私が家族でスポーツ観戦に行くとします。家族で行くからには、当然家族みんなで一緒に見て、はしゃぐ子供の姿を見たいわけです。しかし車椅子席はスタンドの後方に位置するため、子供はそこからでは試合がよく見えません。結局、子供は前の方の席に移り、私は子供の後頭部を眺めながら試合を見るのです。
究極的に言えば、私は試合を見たいのではなく、家族みんなで楽しい時間を過ごしたいのです。しかし、多くの車椅子席は「試合を見る」という目的のみを考えて作られているように思えます。身障者トイレや洗い場からの距離が、かなり遠い席もあります。贅沢言うなと怒られそうですが、私の本音です。最新の施設は違うのかもしれませんが、私の今までの経験はそんな感じでした。
ではどうすればいいのでしょう? スタンドの前方に車椅子席を作りますか? そんなことをしていたらお金がいくらあっても足りないと思います。障害者に対する「合理的な配慮」を超えた望みだと思います。
完全に私見ですが、東京五輪の時は、会場に隣接するパブリックビューイング的な場所を作り、高性能なビジョンを用意して、屋台やグッズショップも入れて、休憩室や多目的トイレを準備、医師や看護師が待機、そんなスペースを作り、「車椅子100台、ベビーカー100台、手押車100台で一緒に応援しよう!」というのはどうでしょう?
障害者も見れますというサブ的な位置付けでなく、乳児連れやお年寄りも含めて、バリアを感じている人達こそに呼びかけて、安心して外出して来てもらい、みんなでスポーツの生み出す一体感を味わうことができれば、みんな元気になれるのではと思います。もちろん、会場でリアルな雰囲気を感じるのもオッケーです。疲れたら戻ってきてください。
全く不勉強なので、的はずれなことを書いているかもしれませんが、こんな会場が日本全国にあったら、外出のきっかけとコミュニティ作りのきっかけになると思います。やりませんか?
2020、楽しみです!
(2016年9月15日「片道切符社長のその後の目的地は? ALSと共に生きる恩田聖敬のブログ」より転載)