「エシカルライフはすごく楽しい」と話すのはエシカル・コンシェルジュの大信田千尋(おおしだ・ちひろ)さん。
サステナビリティを意識し、環境に配慮した行動が消費者にも求められている昨今。しかし、「生活が制限されそう」「面倒くさそう」というネガティブな印象も根強い。
「完璧を求めると疲れるし続かない。やってみたいと思ったらチャレンジし、楽しい、心地いいと感じたことを続けるのが大切」と大信田さんは言う。
今回は、身近なキッチンで、楽しく簡単にできるアクションを教えてもらった。
1. 食器洗いのスポンジは自然素材にチェンジ
「まずは本当に簡単なことから」と大信田さんが提案するのは、食器を洗うスポンジを変えること。
化学繊維のスポンジは、マイクロプラスチックの流出につながる可能性がある。そこで登場するのが、麻やヘチマ、オーガニックコットン、セルロースといった自然素材だ。
「セルロースは一般的なスポンジに使用感が近いです。私は色々な素材を試しましたが、麻がお気に入り。油汚れも落ちやすいです」使い心地にはそれぞれ特徴があるので、自分に合うアイテムを見つけてみよう。
2 . 洗剤も減る!パスタの茹で汁・米のとぎ汁活用
パスタの茹で汁はとっておいて、油汚れが気になる食器を浸ける。すると、茹で汁に含まれた成分が油と反応し、洗剤がなくても油汚れがスッキリ落ちるそうだ。
また、米のとぎ汁は、キッチンの掃除に使える。スポンジに染み込ませて磨くと、シンクがピカピカになるという。
普段捨てるものを活用し、洗剤はもちろん、水の使用量を減らすことができるのだ。
3. 臭い防止にも◎。生ゴミは新聞紙の袋に入れて乾燥
水分を含んだゴミは、乾燥したゴミよりも燃焼時にエネルギーを要するため、CO2が多く排出される。
キッチンには、新聞紙で折ったゴミ袋を常備しよう。生ゴミが出たら、その袋に入れ、ゴミの収集日までおいておく。ビニール袋に入れるよりも乾燥が早まる上、匂いや、虫が湧くのも防いでくれるのも嬉しい。
新聞紙がおすすめだが、手元にない場合は、オンライン注文の際の梱包紙やチラシを再利用してもいいそうだ。
4. 魅力に気づくかも?週に1回はヴィーガン料理を楽しむ
「イタリアンや日本食と同じように、ヴィーガン料理が好きなんです」大信田さんは、動物性食品を控え、ほぼ植物性食品中心の食事をするフレキシタリアン(※)だ。
家畜の飼料の栽培のために、森林が伐採され、大量の水資源が使われている。その飼料の輸送や、家畜のふん尿の処理でも、多くのCO2が排出される。このように、肉の環境負荷は高く、その消費を減らす動きが世界各地で進んでいるのだ。
とはいえ、お肉なしの生活は考えられない!という人も多いはず。そんな時は、週に1日だけ肉を食べない日をつくってみよう。また、大豆ミートなどを使って、肉の再現にトライするのも面白いという。肉好きの家族や友人に食べてもらうのも盛り上がりそうだ。
そこからヴィーガン料理の魅力に気づき、好きな料理ジャンルが増えたら、食生活がもっと豊かになるかもしれない。
5. 食材は「できるだけ」環境に優しいものを選ぶ
食材が環境に配慮している基準として、オーガニック、地産地消などが考えられる。オーガニック食材は農薬による生態系への影響を減らし、地産地消は輸送時のCO2削減につながる。
しかし、基準を満たす食材はなかなかない上、どうしても価格が高いものが多い。
「全ての食材ではなく、試しに1つだけオーガニックにするだけで良いと思います。できる範囲で、少しでも環境にいいものを選んで」
買う人が少しでも増えれば、環境に配慮した農家の取り組みを応援することができ、値段も下がっていくだろう。
6. 冷蔵庫にはすき間を!フードロスを減らし、節電にも
「日本はまだまだフードロスが多いけれど、知らない人が多い。認識するだけで、行動は変わるはず」大信田さんが指摘するように、日本では、フードロスが1年間で約600万トン、そのうち約276万トンが家庭で生まれている。(※)
そんなフードロスを減らすためには、必要な分だけ購入し、冷蔵庫はすき間がある状態にしておこう。節電にもつながるという。
ほしい分だけ購入できる量り売りの利用や、友人とのシェアもおすすめとのこと。
7. リフューズをまず意識!「6R」でゴミを減らす
日本のゴミの埋立地はあと20年ほどで満杯になる。(※1)私たちはとにかくゴミを減らさなければならない。そんな現状から、3R(リデュース・リユース・リサイクル)では足りず、6Rが必要と言われている。(※2)
まず意識すべきは、リフューズ(断る)だ。レジ袋や使い捨て容器など、不要なものは断ろう。
また、リサイクルすれば大丈夫、という考えは改めた方がいいかもしれない。
「リサイクルはコストがかかります。だからこそ、プラスチックなどは、実はリサイクルされていないものが多いのが現状です」
まずはゴミを減らし(リデュース)、修理(リペア)して使い続け、工夫して再利用(リユース・リパーパス)し、リサイクルは最終手段、という優先順位も忘れてはならない。
8. パッケージは、プラスチックより、紙・缶・瓶
プラスチックのリサイクル率は、実はかなり低いと言われる。日本でも回収されたプラスチックは25%しかリサイクルされず、57%はゴミ燃料となり、18%は活用されずに捨てられる。(※)
まず減らしたいのは、プラスチックゴミの多くを占める「容器包装」だ。私たち消費者も意識して、プラスチックより、リサイクルしやすい紙や、缶、瓶の製品を選ぼう。
また、大信田さんは瓶を保存容器として再利用している。工夫してリユース・リパーパスするのも楽しそうだ。
バリラはプラスチックから紙パッケージへ
2021年春より、バリラ・ジャパンは消費者向けパスタ製品のパッケージを、プラスチックから「ブルーボックス」と呼ばれる紙箱に変更した。これにより、日本では年間約31トンのプラスチックを削減することができる。
紙箱にはFSC®︎森林認証、PEFC™森林認証を得た森林から調達した木材を紙箱に使用。また、衛生面や安全性を確保するため、100%バージンファイバーが使われているのも消費者にとって安心だ。
まずはキッチンで、できることから始めよう
「Good for You, Good for the Planet(あなたに良いもの、それは地球にも良いもの)」をミッションに掲げるバリラ。
その理念を下支えするように、「健康に良いとされる食品は、地球環境にも良い」という相関が下図のように確認されている。
今回、紹介したアイディアも、環境に優しく、そして自分自身も楽しめそうなものが多い。おいしさや健康、生活の豊かさは、決して環境とトレードオフではないのだ。
バリラのパスタとともに、楽しいエシカルライフを始めてみてはいかがだろうか。