「ポカリスエット」を製造・販売する大塚製薬が、香港の「逃亡犯条例」改正反対デモで「当局寄り」の報道をしたと指摘されるテレビ局で流しているCMを取りやめることが、7月10日までに分かった。
香港デモの参加者では「ポカリ買った」などと決定を支持する一方で、デモに否定的な見方を示している大陸のネットユーザーからは「不買宣言」も上がっていて、両者の分断がはっきりとしている。
大塚製薬はハフポスト日本版の取材に対し「政治的な意図はない」としている。
■「警察側に偏っている」BBCが評論
大塚製薬によると、取り下げるのは香港のテレビ局・TVB(無線電視)で流しているテレビCM。放映を取りやめる具体的な時期については未定だという。
BBCは、このTVBについて「(デモ隊を制止する)警察側に偏った報道をして批判を浴びている」と評論。7月21日にはデモ隊がTVBの社屋の前で「紅色(中国共産党寄り)のメディアはいらない」と抗議する予定だという。
■売り切れ報告も
大塚製薬がCMを取り下げるという情報がネットで出回ると、Twitterでは香港デモの参加者や支持者とみられるユーザーが次々に支持を表明。
大人買いする様子の写真や、売り切れになりコンビニの棚からポカリスエットが消えたことを報告するツイートなどが寄せられた。
■大陸では怒り
一方で、香港デモを快く思わない中国大陸のネットユーザーからは怒りの声が上がっている。
共産党機関紙・人民日報の姉妹紙「環球時報」などがこのニュースを伝えると、「一生買わない」と不買宣言が相次いだほか、「香港や台湾の独立を支持する企業や製品には、中国市場ではろくな結末が待っていない」とする意見もあった。
■香港法人がコメント
こうした騒ぎに対し、大塚製薬の香港法人は7月10日、フェイスブックで英語の声明を発表。CMを取り下げるなどとしたコメントに対し「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」などと陳謝した。
大塚製薬はハフポスト日本版の取材に対し、CMの取り下げは香港法人の決定だと明かした上で「CM戦略を考える一環で特に意図したものではなく、政治的な判断ではありません」と回答した。
大陸で不買宣言をするコメントが寄せられていることには「どちらの地域にも健康飲料を届けるのは同じですので、コメントする立場にありません」としている。
大塚製薬は、中国の天津と広東省にある3か所の工場でポカリスエットを製造し、販売を行っている。