「銅像を引きずり下ろすデモ隊」を銅像にしては?バンクシーが奴隷商人の銅像のユニークな展示法を提案

イギリスの反人種差別デモで17世紀の奴隷商人の銅像が引きずり下ろされ、海中に投棄された。地元市長は引き揚げて別の場所で展示する考えだが、バンクシーは「これでみんな幸せ」とユニークな提案をしている。
バンクシーの公式Instagramより
バンクシーの公式Instagramより
Instagram/banksy

アメリカの黒人男性死亡事件を受けて、イギリスでも反人種差別デモが相次いでいる。南西部ブリストルでは、奴隷商人の銅像が引きずり下ろされて港に投げ込まれた。ブリストル市長はデモ隊の行動に理解を示しつつも、銅像を引き揚げて市内の別の場所に展示する考えを示した。

これに対し、覆面芸術家のバンクシーは「銅像を引きずり下ろすデモ隊」の銅像を元の場所に作ればいいのでは?とユニークな提案をした。

■なぜ奴隷商人の銅像があったのか?

6月7日、ブリストルの港に投げ捨てられるエドワード・コルストンの銅像
6月7日、ブリストルの港に投げ捨てられるエドワード・コルストンの銅像
ASSOCIATED PRESS

港に投棄された銅像は、17世紀の奴隷商人であるエドワード・コルストンのものだった。コルストンは生前、王立アフリカ会社のメンバーとして、約8万4000人をアフリカ大陸からアメリカ大陸に奴隷として送り込んだとされている。遺産を多くの慈善団体に寄付。このため、ブリストルにはコルストンにちなんだ通りや記念碑、建物が残っていることが近年では議論を呼んでいる。

今回投棄された銅像も1895年に建てられていたが、近年は銅像に対する批判もあり、撤去の署名活動も実施されていた

BBCによると、ブリストルのマービン・リース市長は「状況が頭に浮かび、人々は像を降ろす必要性を感じたと思う」と銅像の撤去に理解を示した。その上で、この銅像は「ある時点で」港から取り出され、最終的には市の博物館に収まるとも述べた。

■バンクシーの提案とは?

今回の動きに関して、覆面芸術家として知られるバンクシーが公式Instagramにイラストを投稿した。それは、コルストンの銅像を引きずり下ろす人々を描いたものだった。 

そこには、こんなキャプションが添えてあった。

「銅像がなくなって寂しい人も、寂しくない人も納得するアイデアを教えよう。銅像を水から引きずり出し、台座に戻し、ケーブルを首に結び、抗議者の等身大の銅像も置こう。これでみんな幸せ」

この投稿から約15時間ほどで140万人を超える「いいね!」が集まっている。

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