安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃されて死亡した事件に関して、宗教法人「世界平和統一家庭連合」の田中富広会長は7月11日午後2時すぎに会見を開いた。同宗教法人は2015年まで世界基督教統一神霊協会の名称で活動。当時の略称である「統一教会」の通称で広く知られている。
田中会長は殺害未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也容疑者の母親が旧統一教会の信者であることを認めた上で、経済的に破綻したことを「今回把握した」と述べた。
■母親の経済的な破綻は「今回、情報を得た」
毎日新聞は9日、山上容疑者は特定の宗教団体名を挙げ、「母親が団体にのめり込んで破産した。安倍氏が団体を国内で広めたと思い込んで恨んでいた」と供述していると捜査関係者の情報を報じていた。田中会長は会見で、山上容疑者の母親が旧統一教会の信者であることを明かしていた。
記者団との質疑応答の中で、田中会長は山上容疑者の母親が経済的に破綻したことについて「今回、現場で、いろんな方に、このお母さんと因縁ある方に尋ねていって『破綻していた』という情報を、私たちは得ました」と述べた。
また、信者の破綻を教団が把握した後に「さらにそこに献金を願う、要求するということはありません。そのような指導はしておりません」と強調した。
■「このご家庭に高額献金を要求したかどうかという事実は、記録上、一切残っておりません」
AbemaニュースがYoutubeで放送した会見内容によると、記者団とのやり取りの該当部分は以下の通り。
―― 献金に関して破産したことを知った上で、月例などさまざまな献金を促すということはあり得るんでしょうか?
破綻されているということが、こちらが知っていた立場で、さらにそこに献金を願う、要求するということはありません。そのような指導はしておりません。
―― 「破綻・破産されていることを知った上で、さらに献金を要求することはない。そのように指導していない」ということでしたが、破産されたことを知っているけども、「要求をしていない」という報告を受けているということでいいでしょうか?
破綻に関して……。このご家庭が破綻された諸事情は、私どもも把握しておりません。そして、現場に問い合わせてもなお、当時のことをわかっている方もおられなくて、把握しきれてないのが現状です。ただ破綻されていたということは(現在は)知っております。その後、このご家庭に高額献金を要求したかどうかという事実は、記録上、一切残っておりません。
―― お母様の破綻の件なんですけど、それを教会としてまたは法人全体としてどのように把握されたのでしょうか?
破綻をこちらが理解していたというのは、今回、現場で、いろんな方に、このお母さんと因縁ある方に尋ねていって「破綻していた」という情報を、私たちは得ました。したがって、そのことが、改めてこちらも把握できたということだと理解いただきたいと思います。破綻するに至る原因が何だったのか、どんな家庭事情でそこに至ったかということは掌握しきれていません。そのことも含めて、これは警察がいま捜査する一番大きな案件かとも思いますので、私たちも、これから知っていく情報も入れば、全てあわせて警察に全面協力して、事件の動機の解明に協力していきたいと考えております。