校長からの性暴力の被害を訴えた19歳の女子学生が火をつけられ殺されるという凄惨な事件が、バングラデシュで起きた。首都ダッカで抗議デモが起き、シェイク・ハシナ首相は事件に関与した人への厳しい処罰を誓った。
BBCなどの海外メディアが、4月18日に報じた。
BBCによると、殺害されたのはヌスラト・ジャハン・ラフィさん。首都ダッカ南160キロのフェニにあるイスラム教の学校に通っていた。
ラフィさんは、3月27日に校長に部屋に呼び出され、不適切な方法で何度も触られる被害を受けたと訴えていた。
同じ日、家族の協力を得て警察に被害届を出すと、校長は逮捕された。だが、そこから事態は悪い方向へと流れていった。
校長の釈放を求める人たちが抗議し、ラフィさんを非難し始めたのだ。
そして、悲劇が起きる。
AFP通信によると、ラフィさんは学校の屋上に呼び出され、被害届を取り下げるよう要求された。ラフィさんが拒むと、灯油をかけられ、火をつけられた。ラフィさんは全身の8割を火傷する大けがで、4月10日に死亡した。
地元警察は、この事件で逮捕された17人のうちの1人が、校長から指示でラフィさんを襲ったと訴えていると説明。「(校長が)ラフィさんに被害届を取り下げるようプレッシャーをかけ、拒んだら殺害するよう彼らに指示した」と、AFP通信に話している。
逮捕者にはラフィさんのクラスメイトも含まれ、彼女の手足をスカーフで縛った上で、火をつけたという。
ハシナ首相「だれ一人として、法の裁きを免れることはない」
AP通信によると、バングラデシュでは、セクハラや性的暴力の被害者の多くが、今回のような不当な非難を浴びるのを恐れて、警察への届け出を避けてしまうという。そのため、性暴力の被害が明るみに出ることが少ない。
この凄惨な事件に対して、ダッカで抗議デモが起きている。数万人がラフィさんの葬儀に参列したほか、シェイク・ハシナ首相はダッカでラフィさんの遺族に面会し、関与した人への厳罰を約束。「だれ一人として、法の裁きを免れることはない」と話した。