来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が7月15日、思わぬトラブルに見舞われた。
バッハ会長が東京都庁に出向き、小池百合子知事と会談した際の出来事だった。会場に入ったバッハ会長は、この日69歳の誕生日を迎えた小池知事に花束を渡して、会合は和やかなムードで始まるかに見えた。
TBSの中継動画によると、異変が起きたのは、その直後の記念撮影の場面だった(動画では5分30秒ごろ)。ソーシャルディスタンスを取って小池知事やバッハ会長ら関係者が並んでいたところ、会場に大きく叫ぶ男性の声が響いた。
英語で「President Bach,You are liar! Airport is dangerous! Bubble is broken!」という内容。「バッハ会長、お前は嘘つきだ!空港は危険だ!バブルは欠陥だ!」という意味だった。
東京オリンピックでは、選手や関係者の移動・滞在を一定の空間に限定し、外部との接触を極力避ける感染対策を取っており「バブル方式」と呼ばれている。男性はこの方式を批判したものと見られる。バッハ会長は菅義偉首相と13日に会談した際に「我々が日本国内にリスクを持ち込むことは絶対にない」と強調していた。
今回、バッハ会長は突然の出来事にも動じず、「すまないが、何を言っているかわからない」「何か言いたいことがあれば、私あてに書いてほしい」などと応じた。
スポニチは今回のハプニングについて「ジャーナリストと称する1人の男性」が行ったもので、「この男性は都庁関係者数人に腕をつかまれ、強制退場させられた」と報じている。
【UPDATE】ハフポスト日本版は都庁報道課に取材した。担当者によると、バッハ会長に罵声を浴びせたのは、都庁記者クラブに所属していないフリーランスの男性記者だという。「事前に提示していた取材ルールではイベントが始まったら静かにするようにと伝えていました。今回、取材ルールを守るように再三注意したが、従ってもらえなかったので会場から退出していただきました。取材活動は構わないが、運営に支障がでる行為は困ります」と担当者は説明している。(2021/07/16 09:30)