自分の子どもが普段インターネットで「何」をしているのか、親はどの程度把握しているのだろうか。
セキュリティソフトを開発・提供している「アバスト」が調査したところ、子どもとインターネット上の行動について話し合っている家庭はわずか16%しかいないことが分かった。
■日本は最下位
調査は、アバストが2018年に日本を含む世界10カ国で実施した。それによると、子どもが普段、インターネット上でどのようなサイトを利用し、どういった活動をしているかを把握している家庭は日本では16%に留まり、最下位だった。
これはアメリカやイギリス、それにフランスなどの10か国の平均だった42%よりも26ポイント低い数字。日本では特に子どものネット利用に親の目が届いていない実態が明らかになった。
■潜む犯罪被害リスク
こうした実態も背景にあってか、SNSを介して子どもが犯罪被害に遭うケースは増えている。
警察庁のまとめによると、2017年にSNSがきっかけで犯罪被害にあった児童は1813人と、統計を取り始めて以来最多となった。
こうした中には、SNSで知り合った男によって売春を強要させられたり、言葉たくみに裸の写真を送らされたりと、性犯罪に関するものが多い。
一方で、Twitterで「死にたい」などと呟いたことがきっかけで誘い出され、神奈川県座間市のアパートで9人が遺体となって見つかった事件も起きていて、ネットを入り口に命をも落とす事態に繋がる可能性もある。
■フィルタリングは万全ではない
対策として警察が推奨しているのがフィルタリングだ。アダルトサイトや出会い系サイトへの接続を制限する機能のことで、2017年にSNSをきっかけに犯罪被害にあった児童のうち、91.6%がフィルタリングを利用していなかったことも分かっている。
一方で、ただフィルタリングをすれば良いと言うわけではない。
調査を実施したセキュリティソフトウェア会社「アバスト」の高橋実カントリーマネージャーは「フィルタリングにも限界はある」と指摘する。
「確かに、フィルタリングで、ある程度の問題は解決できます。特定のアプリを使わせないようにできるほか、アダルトサイトや出会い系へのアクセスも制限できます。ただそれでは100%は防げません」と高橋さん。
例えばTwitterなどSNSは一旦使用を認めると、フィルタリングをしていても、アプリ内で見知らぬ大人とやりとりすることを防ぐことができなくなる。
高橋さんは、考えられる対策として「スクリーンタイム」という機能を提案している(iPhoneのみ)。子どもがどのアプリを、どのくらいの長さに渡って使っているかが確認でき、必要に応じて制限を設けることもできる。
さらにTwitterでは、①自分のツイートを全てのユーザーに公開していないか②フォロワー以外からもダイレクトメッセージが受け取れる設定になっていないかなどを確認することが大事だという。
高橋さんは、こうした機能的な制限に加え、日本の家庭では少ない親子間の対話も同時に進めるべきだと指摘している。
「見知らぬ人の車に乗らないよう親が言うように、実際に会ったことがない人とオンライン上で話すのは危険だと伝えるべきです。ネットでシェアした写真などが友人のグループだけで公開される設定になっているかも確認すべきです。(制限だけでなく)組み合わせで子どもを守るのが現実的です」