オーストラリアで深刻な森林火災がつづき、犠牲者23人が出るなど、被害が拡大している。森林に生息する動物たちにも甚大な被害をもたらし、火災で最大8000頭のコアラが犠牲になっているという。
オーストラリアで何が起きているのか?
9月ごろから大規模な火災 消火活動も難航
オーストラリアでは2019年9月ごろから、南東部のニューサウスウェールズ州やビクトリア州で大規模な森林火災が相次いでいる。
異常な高温と乾燥によって火災が発生しやすい状況が続いており、消火活動も難航しているという。
1月4日時点で犠牲者の数は23人にのぼり、1500棟以上の家屋が被災した。焼失した面積は500万ヘクタールに及んでいるという。
煙と灰は、シドニーの都市部にまで広がった
被害は動物たちにも
森林火災の影響は、人の生活だけではなく、動物たちにも甚大な被害をもたらしている。
シドニー大学の生態学者は、これまでに約4億8000万の哺乳類、鳥類、爬虫類が死んだと推定している。
現場になっている森林はコアラの生息地として知られており、ニューサウスウェールズ州では1万5000〜2万8000頭のコアラが生息しているとされる。
地元メディアの「News.com」は、「最大8000頭のコアラが4カ月以内に死んだと考えられる」と報じた。
オーストラリア連邦政府のスーザン・レイ環境相は、「地域に生息するコアラのうち30%以上が死んだ可能性がある」と述べた。
著名人も危機感訴え 「間違いなく気候変動によるもの」
収束の兆しが見えない大規模火災に、著名人らも危機感を訴えている。
1月5日(日本時間6日)にアメリカで開催された「第77回ゴールデン・グローブ賞授賞式」では、オーストラリア出身の俳優ラッセル・クロウさんのメッセージが読み上げられた。
クロウさんはリミテッドシリーズ/テレビムービー部門で主演男優賞を受賞したが、「火災から家族を守る」理由で授賞式を欠席したという。
クロウさんは、森林火災は「間違いなく気候変動によるものだ」と主張。
「科学に基づいて行動し、世界の労働力を再生可能のエネルギーに移行し、地球を尊重する必要がある。そうすれば、私たち全員に未来があります」と訴えた。