このATMを利用する時には、自分の富をさらけ出す勇気が必要そうだ。
アメリカ・フロリダ州で12月1〜3日に開催されているアートフェア「アートバーゼル・マイアミビーチ」に、利用者の残高を表示し、ランク付けするATMが展示されている。
ジャーナリストのジョエル・フランコさんが12月1日、会場でこのATMを撮影した。
この作品を手がけたのは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするアート集団・MSCHFで、タイトルは「ATMリーダーボード」だ。
アートニュースによると、カードを入れて残高を確認すると、ATMに備え付けられたカメラで撮影した写真とともに、ランク付けされた残高がディスプレイに表示される。この残高とランキングは、誰もが見られるようになっている。
フランコさんが撮影していた時、周りにいた人たちの大半は利用を躊躇していたものの、一人の勇敢な人物が進み出た。
この人物が必要な操作を終えると、ディスプレイに表示されたのはトイレの画像と「BYE(さようなら)」のメッセージ。
その後に順位が表示され、この人物の残高は21位だった。「21位だ」とランキングをチェックする姿は、なんだかゲームのようだ。
フランコさんが利用した時点での1位は、ピンクのTシャツを着た人物の298万9381ドル(約4億200万円)で、残高がゼロの人もいた。
このATMは、現金の出し入れも可能で、さらに希望者は7万5000ドル(約1013万円)で買えるという。購入した場合、自分で現金を補充しなければいけないが、手数料をとることもできる。
CNNによると、MSCHFは最初からアートバーゼルのような場所に出品することを狙って、このATMリーダーボードを作った。
アートバーゼルは世界最大級のアートフェアの一つで、各国から裕福な人々が集まり、何百万ドルもする作品も販売される。また、期間中は豪華なパーティーやミュージックフェスティバルも開かれる。
MSCHF創設メンバーの一人であるガブリエル・ホエーリーさんは「参加者たちは高級な腕時計をつけ、ランボルギーニに乗ってこのアートフェアに来ます。この部屋を訪れる全ての人々は、意識的に富を見せびらかしています」「それなら、実際の数字を表示して、仲間との間で順位をつけようじゃありませんか」とアートニュースに語っている。
共同設立者のダニエル・グリーンバーグさんも、ランボルギーニやロレックスを見せびらかすような行動について「示唆的な行動だが、ATMリーダーボードの露骨さと同類だ」とCNNにコメントしている。
このATMリーダーボードがアートバーゼル・マイアミビーチの次に、どこに展示されるかはまだ決まっていないが、ランキングはこのまま引き継がれるという。