韓国の航空会社「アシアナ航空」をめぐり、大きな騒動となっている。アシアナ航空の乗務員による告発がつづいている。
●「会長、愛しています」
韓国の公共放送「KBS」によると、「アシアナ航空」を所有する錦湖アシアナグループ会長・朴三求(パク・サムグ)氏を歓迎するためのセクハラに近いイベントが乗務員に強要されたという。
匿名で告発した乗務員によると、こうした"歓迎イベント"が1か月に1回行われていたという。会長が研修生のもとを訪れるのに合わせて、歌とパフォーマンスを準備したという。
映像には、アシアナ航空の乗務員用の服を着た女性30名ほどが団体で歌う様子が収められている。
会長にお会いする日、しきりにときめく心に眠れませんでした
真っ赤なバラくらい会長を愛してる、胸が弾けそうなこの心を知ってますか
映像で歌われている「バラの微笑み」は、1990年代初頭のドラマの曲だ。恋人に向けた歌詞を「会長」に置き換えて歌った。
また、会長を感動させろと涙やプレゼント、スキンシップを求められたともいう。
韓国メディアは、まるで「喜び組」のようだと報じた。
●告発が噴出したワケ
告発がつづいているのは何故だろうか。背景には、機内食騒動がある。
7月1日、午前の最初の便から30分〜4時間ほどの遅延(国際線)が見られた。一部の便では機内食なしでの出発となり、大きな混乱を招いた。遅延や機内食なしでの出発はこの日にとどまらず、1週間後までつづいた。
機内食が安定的に供給できなくなったのは、アシアナ航空が最近契約した、機内食の小規模業者A社が提供を始めた日だった。もともとB社から提供される予定だったが、3月に生産施設の工事現場で火災が起こり、A社と短期契約を結んだ形だ。
アシアナ航空は2003年から契約してきた「LSGスカイシェフコリア」に対し、契約延長の対価として錦湖ホールディングスに投資を要求したとして、LSG側の提訴により公正取引委員会から調査を受けている。
このことから、他の機内食業者と契約を結ぶ形となったが、この事態は予見できたとの声もあがっている。アシアナ航空は1日に2〜3万食必要だが、A社は3千食規模(6月基準)の小さな業者だったという。
「機内食なし事態」がつづくなか、A社の関連会社の代表が2日、遺体で見つかった。自殺と見られている。
こうした混乱に対して、経営陣による迅速な公式発表や謝罪がなかったことで、乗客の抗議が乗務員に押し寄せた。現場からは「乗務員の機内食もなく、空腹の状態で乗客に提供するカップラーメンをつくった」との声もあがった。
現場が混乱に包まれるなか、7月1日付で会長の娘が「錦湖リゾート」常務として入社した。経営の経験がないことから批判が集まった。
●抗議集会へ
機内食騒動から会長によるハラスメントへの告発がつづいており、会長の退陣を求める集会が6、8日に行われた。
14日には、「水かけ姫」「ナッツ姫」で騒動となった大韓航空の職員との合同集会が行われる予定だ。