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新型コロナで働き方はどう変わる? 「仕事で生き残る5つのポイント」を人材開発のプロに聞いた

テレワークの普及で「評価方法」が大きく変化する?

新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるい、私たちは働き方の変革を迫られている。突然始まったテレワーク、オンライン会議、休校中の子どもを世話しながらの就業……。さらには雇用不安が広がる中、「一体これからどうしたらいいの?」と戸惑う声が、巷にあふれている。

「働き方の大きな転換期に、日本企業のほとんどは対応できていない」と危機感をあらわにするのが、Google Japanで人材開発に従事し、現在は2社の経営者として国内外の企業のコンサルティング等を手掛ける、ピョートル・フェリクス・グジバチさんだ。

これからの働き方は、どう変わっていくのか。そして、企業や個人が新たな時代を生き残るにはどうすればいいのか。ピョートルさんに、5つのポイントを教えてもらった。

■ルーティンが評価される時代は終わり。アウトプットを出しまくれ

ピョートル・フェリクス・グジバチさん
ピョートル・フェリクス・グジバチさん
Pronoia Group

まず、これからの働き方はどう変化していくのか。ピョートルさんは、「テレワークがますます浸透し、『アウトプット』がより重視される時代が来る」と語る。なぜなら、皆が別々の空間で働くテレワークでは、従来のように勤務時間や態度で評価することが不可能だから。誰の目にも見える「成果」が評価のベースとならざるを得ないのだ。

すると、これまで以上に生産性の高い働き方やチームづくりが求められてくる。「毎朝、満員電車に乗って、オフィスで与えられたルーティンをこなすーーそんな典型的な“サラリーマン”の働き方が認められる時代は終わりです」

では、企業や個人が生産性を高め、これからの時代を生き抜くためにはどうすればいいのか。

■テレワーク時代、生産性を高めて生き抜く5つのポイント

1. 「1 on 1」で課題を解決

「1 on 1(ワン・オン・ワン)」とは、マネジャーとチームメンバーが1対1で実施するミーティングのこと。グジバチさんは、週に一度は1 on 1で、チームメンバーの仕事の進捗を確認し、共に課題解決していくことをおすすめしている。 

1 on 1に力を入れるのは、「このチームなら自分らしく働ける」という安心感を高め、メンバーに本来の力を発揮してもらうため。Googleの研究でも、この「心理的安全性」が生産性の高いチームづくりに最も重要だという結果が出たという。

グジバチさんは、1人の1 on 1に週5時間以上かけることも。周囲に対して疑心暗鬼になったり、誰かに遠回りして確認したりするより、納得いくまでじっくり話す方が、実は効率的なのだ。

2. 「雑談」で信頼関係を築く

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チームの生産性を上げていくためには、メンバー同士の信頼関係を高めることも重要になる。ピョートルさんが大切にしているのが「雑談」の時間だ。

テレワークのデメリットは、信頼を築きあげるためのコミュニケーションが取りづらくなってしまうこと。だが、ツールや時間の使い方を工夫すれば、チームの交流を促すことはできる。

流行りのオンライン飲み会や朝食会など、メンバー同士が気軽に話せる場を設けてみよう。ちょっとした雑談やブレインストーミングが、新たな課題解決に結びつくことも多々ある。

3. 「OKR」で仕事の意味を明確化する

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OKRとは、「Objective and Key Results(目標と目標達成のための具体的な指標)」のこと。GoogleやFacebookが採用する目標管理としても注目されており、ピョートルさんは、四半期ごとに会社、個人のOKRを設定している。

例えば、会社の目標として「業界内での圧倒的な知名度を得る」といった、月に届くくらい壮大なビジョン(ムーンショット)を掲げた場合、「キャンペーンの売上を2倍に」などの具体的な事柄を「ビジョンを具現化する測定可能な指標」として設定する。

社員はそれらを見ながら各自のOKRをつくりあげることで、仕事の意味やプロセスを明確にしていく。これがモチベーションアップや自信につながっていくのだ。

ただし、OKRを設定しても、そのままにしていては意味がない。進捗や課題は、1 on 1でこまめに確認し、チームでも共有することが重要だ。

4. 「自己管理」の仕組みをつくる

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目の前でマネジメントしてくれる上司がいないテレワークでは、パソコンやデスクなど働く環境の整備から、OKRに沿って仕事を進めることまで、すべて「自己管理」が重要になる。

「自分の力で生きられるような、自分の仕組みをつくらなくてはいけません」とピョートルさんは話す。例えば、アウトプットを出せる人は、テレワークで浮いた通勤時間を、誰に言われずとも自己成長のために管理しているはずだ。

また、もしあなたが「与えられた仕事しかできない」と感じているなら、「上司の上司」の立場で仕事を俯瞰し、200%の成果を出すために動いてみること。トップダウンの企業でも、高い目標を掲げれば自己管理につながる。

5. 「ツール」を柔軟に使いこなす

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在宅勤務を急に命じられ、定例会議もままならず、どう働けばいいのか途方にくれている……そんな人は「使えるツールを柔軟に使いこなす」という発想に切り替えよう。

まずはドキュメントやカレンダーツールなど、会社が提供しているものをきちんと使いこなせているか、確認すること。

また、仕事を楽にしてくれるツールを自分で探し出し、柔軟に取り入れること。すぐに利用できるオンライン会議やクラウドのサービスが、どんどん誕生している。

「ツールとプロセスがしっかりしていれば、誰でもどこでも働ける時代です。いかに自分で動けるかが重要です」(ピョートルさん)

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■テレワーク時代だからこそ、仕事の「見える化」を

新型コロナウイルスの流行は、テレワークを否応なしに促進しただけでなく、「仕事を時間ではなく、アウトプットで評価する」時代への大きな転換をもたらした。

チーム、個人の作業や仕事の責任範囲を明確にし、生産性を上げアウトプットを明確化する「ワークマネジメント」を提唱し、プラットフォームを提供しているのが、Asana(アサナ)だ。

Google、Facebookなどにも取り入れられ、ピョートルさんも利用しているこの「Asana」。「誰が、何を、いつまでに」という業務の基本的な3要素だけでなく、会社や個人のOKRまで、全てのゴールとプロジェクト、タスクを体系的に「見える化」してくれる。

Asanaのガントチャート。誰が何をいつまでにやるか、作業計画と進捗を視覚的に表すことができる
Asanaのガントチャート。誰が何をいつまでにやるか、作業計画と進捗を視覚的に表すことができる
Asana

 Asanaによって、本来の仕事のアウトプットのために発生する調整や大量のメール、チャットの処理など「仕事のための仕事」を減らし、価値ある仕事や個々人のエンゲージメントを高める組織に変革させることが可能になる。

テレワークで顔が見えない時代だからこそ、個人の目標やアウトプットのこまやかな「見える化」が重視される。ツールをフルに使いこなし、それぞれのエンゲージメントを高め生産性を高めていければ、これからの時代を生き抜くことができるかもしれない。 

取材協力:ピョートル・フェリクス・グジバチさん
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役 / モティファイ株式会社 取締役チーフサイエンティスト。ポーランド生まれ。2000年に来日。ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年Google Japanに入社。人材育成などの分野で活躍。2015年に独立して現職。国内外の様々な企業のコンサルティング等を行う。著書に『0秒リーダーシップ』『Google流 疲れない働き方』など。 

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