近年、廃プラスチック問題が注目される中、政府や企業が削減への取り組みに動き始めている。G20のエネルギー環境閣僚会合では廃プラへの対策の枠組みを設置。政府は東京五輪前のレジ袋有料化の方針を明らかにし、コンビニ各社はプラ包装を紙製や植物性へ切り替えなどを発表している。
アサヒ飲料もそれらの取り組みを進めている企業の1つだ。
社を挙げて環境負荷軽減に取り組むアサヒ飲料
2019年から、「アサヒグループ環境ビジョン2050」や「容器包装2030」など、包装だけでなく、社を挙げて様々な環境負荷軽減に取り組んでいる。
1983年から2Lペットボトルを、1996年から500ml以下の小型ペットボトルを採用しているアサヒ飲料。2005年にはペットボトル飲料での採用は日本初となるという植物由来原料を使用したラベルを採用し始め、それ以降、ペットボトルやキャップの軽量化など、目立たなくも着実に改善を進めている。
どれも小さなステップに見えるが...
「大きな変化、例えばリサイクル素材100%にするとか、それには技術や投資が必要になってきますので、すぐに実現するのは難しいことなのです」と応えてくださったのは、コーポレートコミュニケーション部の松沼彩子さんだ。
また、変化を推進するには、消費者の意識改革も重要だと言う。
「今でこそリサイクルや環境意識が高まってきましたが、少し前までは、リサイクルで作った素材を『ごみを使って食品を梱包するのか?』というお客様から嫌悪の声もあったんです。これらの取り組みを変えていくには、世の中の意識も伴う必要があります」
「ラク」して「エコ」できるラベルレス・ボトル
地道なボトル改善の中、珍しく目を引いたのが2018年から採用されている「ラベルレスボトル」だ。ゴミが減るだけでなく、「ラクで便利」と反響を得ているという。
「環境に配慮した商品の展開を模索していた中、『箱買いして毎日飲むようなドリンクに、全部ラベルが付いている必要ある?』『ラベルを毎回取り外すのは面倒では?』という社内の声を元に、開発にいたりました」
そう話すのは、マーケティング部の飯島宙子さん。ラベルレス・ボトルは一部のオンラインでの箱注文限定だが、商品にロールラベル(ボトルの周りについている商品詳細が記載されている薄いラベル)をつけず、情報は配送される際の段ボール箱に記載されている。リサイクル分別時にラベルを剥がす手間を省くことができると好評で、対象商品も拡大中だという。
「ラベルを無くすだけでは、大きな環境負荷削減には繋がりません。しかし、ラベルレス商品を選ぶ事で、ラクをしながら環境配慮に少しでも貢献できるという事で、お客様にも好評です」と話す。
「捨てればゴミ、還せば資源」
そして、最後に飯島さんは「『捨てればゴミ、返せば資源』と言いますが、いくらボトルを改良しても、回収できなければただのゴミになってしまいます」と話す。
そこで同社では、自動販売機の隣にあるリサイクル箱に他のゴミが捨てられないように、分別の徹底を促すステッカーを貼るなどの取り組みを行っており、他の方法も現在模索中だという。
変革は一夜にしてならず。微々たる改善を重ね、変化していくペットボトル。私たちはその利便性の恩恵に感謝しながら、しっかりリサイクルしていく必要がある。