麻原彰晃・元死刑囚の“遺言”を「受け入れる」。四女の松本聡香さんが声明(全文)

「実父はもう麻原彰晃ではありません」
司法記者クラブで会見する松本聡香さん (2017年11月21日)
司法記者クラブで会見する松本聡香さん (2017年11月21日)
Kenji Ando

7月6日に刑が執行された麻原彰晃(本名:松本智津夫)元死刑囚の遺骨を巡り、四女の松本聡香さん(筆名)が9日、代理人の弁護士のブログに、遺骨の引き取りをめぐって見解を述べた。

麻原元死刑囚が刑の執行前に遺体の引き渡し先に、聡香さんを指名したとされることについて「私自身が大変驚きました。しかし、それは実父の最後のメッセージなのではないかと受け入れることにします」と綴った。

朝日新聞デジタルなどによると、松本元死刑囚が、刑執行直前、遺体の引き渡し先に四女・聡香さんという意思表示をしたとして法務省は四女への引き渡しを検討しているという。

聡香さんの代理人、滝本太郎弁護士は9日付の自身のブログで、松本智津夫元死刑囚の遺体の火葬については了解したと明らかにした上で、「遺骨は直ちには受領せず当面、東京拘置所にあることになります」と報告した

このブログに9日夜、聡香さんのコメントが掲載された。全文は以下の通り。

-------

大雨の被害で亡くなられる方がいる中、実父が最後の最後まで世間をお騒がせしていることを心苦しく思っております。本当に申し訳ございません。

松本元死刑囚の最後の言葉の件につきましては、指名を受けた私自身が大変驚きました。しかし、それは実父の最後のメッセージなのではないかと受け入れることにします。(メディア問い合わせで補充「当面、東京拘置所保管」を前提にて)

捏造などではあり得ません。現に聖人化される恐れがあっても遠藤元死刑囚の遺体は教団に渡りました。

私は自分が他の親族に比べて実父から愛されたとは最後の言葉を踏まえても思いません。ですが、かなり信頼してくれていたのかもしれないというのは思い当たる節があります。実は知る限り彼と最後に接見できたのは私だったからです。

松本元死刑囚はおそらく最後は一人の人として葬られたいのだと思います。

私には自分の過去の体験を振り返ると少し彼の気持ちが分かります。信者から神と崇められ、世間から悪魔と憎まれる人生というのはつらかったのではないでしょうか。誰も人として温情をかけてくれないわけですから。

今、実母と、長女以外の姉弟と、信者たちに言いたいことがあります。

どうか松本元死刑囚の最後の意向を尊重してやっていただけませんか。彼は自分で始めたことの幕引きをもはや一人ではできなくなってしまったのです。自分の真意を伝えるのが苦手なのもあると思いますが、あまりに事が大きくなりすぎました。

もう麻原教祖に依存するのは終わりにしませんか。支配されるのは終わりにしませんか。松本元死刑囚のためでもあり、また信者も一人一人の人生を生きるためにです。

実父はもう麻原彰晃ではありません。

その荷を死と共に降ろしたいと願った松本智津夫という一人の人間でした。

松本元死刑囚の罪を増やさないためにも、ご自分が人生をこれ以上台無しにしないためにも報復テロや奪還テロなど絶対にやめてください。今まで松本元死刑囚に従ってきても、これからを彼と心中する必要はないんです。

彼のためには彼を崇めるのではなく、たくさんの人を傷付けてしまった彼の霊がいつか救われるよう祈ってあげることではないでしょうか。

もうオウムを終わりにしませんか。社会を憎むのは終わりにしませんか。そして、改めて自分の人生を始めてみませんか。

残された者が生きて自分と周りを幸せにするのが死者への最大の供養になるはずです。

どうかお願いします。

-------

■三女「作られた話ではないか」

一方、麻原元死刑囚の妻と、長女と四女を除く4人の子供たちは連名で上川法相に元死刑囚の遺体の引き渡しを求める要求書を提出している。三女の松本麗華さんは9日正午付でブログを更新した

体の引き取り先として麻原元死刑囚が「指定した人がいる」という内容を告げられてはいたが、「東京拘置所は7月9日現在にいたるまで、父が指定した相手が四女だということを、わたしたちには話をしてくださいませんでした」と説明した。

そして、「父が四女を遺体の引取先として指定したという話について、父が東京拘置所の職員と意思疎通ができなかったという客観的な事実からも、作られた話ではないかと感じております」との考えを示した。

注目記事