早期対応で、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めたニュージーランドで、首相が国内産業の支援に動き出している。
アーダーン首相は5月18日、新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業を支援するため、週4日勤務の導入をFacebookライブで提案した。
首相はニュージーランド観光地のロトルアで、空港に向かう車の中からライブを配信。
「なかなかFacebookライブをする時間がなくて、車の中から失礼します」「カメラが揺れて、皆さんが乗り物酔いにならなければいいけれど」と話しながら、観光業支援について語った。
ニュージーランド政府はすでに、観光業に対する4億ドル(NZD)の支援を発表している。
国内の観光地を多くの人に訪れてもらうために、働く時間を減らす提案がある、と首相は述べた。
「多くの人たちが、週4日勤務を導入すべきだと提案しています」
「それは最終的に、雇用主と従業員で決めることになると思います。しかし、私たちは新型コロナウイルスから多くのことを学びました 。自宅から勤務できることや、生産性が一番ではなくなるということ」
「ですから、雇用主や働き方を決める立場の皆さんには、(週4日勤務が)職場にとって実行可能か考えてみて欲しいです。それは国中の観光業を助けることになります」
アーダーン首相によると、ニュージーランドの観光業は、収入の60%を国内旅行が占めている。
その一方で、ニュージーランドの人たちは海外旅行に90億ドル(NZD)を費やしているという。
海外渡航再開への見通しがつかない状況で「自分の裏庭を探検してみませんか?」と首相は呼びかけた。
素早い感染対策をしたニュージーランド、次は国内産業の支援
ニュージーランドは、感染者が50人に満たなかった3月19日に国境を閉鎖し、帰国するニュージーランド人や医療従事者をのぞいて海外からの渡航を禁止した。
3月25日には国全体をロックダウンして、国民に自宅待機を求めた。ロックダウンの期間中も、アーダーン首相はFacebookライブで発信し、国民の質問に答えるなどしていた。
一方で、国境閉鎖はまだ解除されておらず、海外からの観光客を迎えることはできない。
観光業はニュージーランドにとって、経済を支える重要な産業だ。
2019年末のニュージーランド政府の発表によると、観光業は国のGDPの5.8%を占めていて、観光業に従事する人の割合は8.4%になる。
また、海外からの旅行者による消費支出は、ニュージーランドの財貨・サービス輸出の20.4%を占めている。
国境再開の見通しがつかない中、首相は国内で観光業を支えていく姿勢だ。