アップルが2020年の開発者向け会議WWDCにて、音声専用OSの「SiriOS」を発表するとの予測が報じられています。
ルクセンブルクのベンチャー投資会社Mangrove Capital Partnersは、音声アシスタントの現状を網羅した報告書Voice Tech Reportの2019年版を作成。この中で、アップルが来年のWWDCにおいてSiriのエコシステムを成長させるべく“SiriOS”を発表するとの見通しが述べられています。
1987年、アップルが当時のジョン・スカリーCEOのもと発表した、未来のコンピュータのあり方を提案したコンセプトビデオ「ナレッジナビゲータ(Knowledge Navigator)」。それは人工知能を備え、ユーザーが話しかけると情報の検索や処理をするという、後の音声アシスタントを予見したものでした。
上記報告書はナレッジナビゲータに言及しつつ、アップルが音声アシスタントのエコシステムを上手く構築してきたとは言えないと指摘。その上で、アップルが開発者コミュニティ向けにSiriOSをリリースすることを期待していると述べています。
さらにMangrove Capitalは、アップルがプライバシーを重視したAIスタートアップのSilkLabsを買収したことを高く評価。同社のAI技術はクラウドではなくローカル機器上で動作する上に、暗号化によって他社サービスよりも個人情報が保護されていることが強調されていました。
そうした「音声経済」の市場としては、2025年までに「モバイルアプリ経済の成長を凌駕」して1兆ドルの規模になると予測。特に音声ショッピングの潜在力が強調され、2018年時点では20億ドルだった市場が、2022年には400億ドル規模に成長するかもしれないと述べられています。
ほか、報告書で予言された見通しは次の通りです。
- キーボードの死:タイピングする代わりに、話して指でスワイプするようになる。キーボードは5〜10年以内にほぼ使われなくなる
- 音声認識デバイスは、画面なしスマートフォンを含むまったく新しい製品カテゴリにつながる
- ブランドは「音のアイデンティティー」を通じて直ちに認識可能になり、製品の検索は永遠に変わる
- 音声認識はアプリケーションにとらわれないため、再び「ソフトウェアよりハードウェア」の時代が来る
最後の項目は意味が取りにくいのですが、現実世界に物理的に働きかけられるロボットなどのハードウェアが重視される、といったところでしょう。信じ続ければ夢はいつか叶うということで、逆にこうした「予測」を指針として技術革新が起こっていくのかもしれません。
(2019年7月22日Engadget 日本版「アップルが2020年に音声専用のSiriOSを発表?キーボードはなくなるとの予測が発表」より転載)
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