アップルは開発者エコシステム全体で、人種差別的な意味を含む可能性あるコーディング(プログラミング)用語を別の用語に置き換えることを発表しました。
これはLinux開発チームやTwitter、GitHub、Microsoftに続くもので、ティム・クックCEOがジョージ・フロイド氏の死によって沸き起こったBLM運動に対して発表した声明を裏付ける動きと言えそうです。
アップルは開発者向けニュースの「コーディング用語の更新」にて、Xcode、プラットフォーム API、ドキュメント、オープンソースプロジェクトなど、開発者エコシステム全体でインクルーシブではない(inclusiveとは人種や民族、宗教などを超えて公平・平等に扱うこと)な言語を削除し、置き換える取り組みを進めていると告知。この変更は6月22日から開始され、ソフトウェアのベータ版やWWDC20で配信された開発者向けドキュメントにおいて適用されているとのことです。
そうした変更内容は、Apple Style Guideにも反映済み。blacklist/whitelistはdeny list/allow list」あるいはunapproved list/approved list、master/slaveにはprimary/secondary, main/secondaryやhost/clientといった代替案が示されています。どの単語を使うかは開発者の自由に任されていますが、いずれにせよ中立的な言葉を選ぶよう強く求められています。
また「疎外的な用語を含むデベロッパAPIは、WebKitやSwiftなどの社内コードベース、パブリックAPI、オープンソースプロジェクト全体で置き換え作業を実施するのと合わせて非推奨」になると述べられています。すなわち開発者はコードベース全般にわたって非推奨の単語を使わないように「お勧め」されることになります。
米AppleInsiderによれば、用語の変更はiOS 14、iPadOS 14、macOS Big Sur、watchOS 7およびtvOS14ベータ版に展開されているとのことです。偶然にもWWDC20との時期が近くシステムソフトウェアの更新準備が始まるタイミングだっただけに、アップルも対応しやすかったのかもしれません。
(2020年7月19日 Engadget日本版「アップルもプログラミング用語の「ブラックリスト」や「スレイブ」を別の単語に置き換えへ」より転載しました。)
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