アントニオ・グテーレス国連事務総長は9月20日、ニューヨークで開かれた国連の気候野心サミットで 「人類は地獄の門を開けた」「恐ろしいほどの暑さが悲惨な影響を生み出している」と述べ、気候変動の取り組みを強化するよう各国リーダーに促した。
国連は、2023年7月が「観測史上最も暑い月」だったと発表している。
グテーレス氏はスピーチで「化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が進んでいますが、数十年遅れています。私たちは、対応の遅れや強い圧力、化石燃料で荒稼ぎしようとする既得権のむき出しの強欲により失った時間を取り戻さなければなりません」と強調した。
また、先進国に対して「最も貧しい国々が怒るのは当然です。彼らは、自分たちが起こしたわけではない気候危機で一番苦しんでいます。約束された資金提供が実現しなかったことに怒っています」と述べ、開発途上国に対する支援が不十分だと指摘。
さらに、気候変動への取り組みが不十分な企業や金融機関を「疑わしい誓約は人々の信頼を裏切ってきました。恥ずべきことに、一部の企業は富と影響力を利用して温室効果ガス排出ゼロを遅らせ、注意をそらし、欺こうとしました」と非難した。
グテーレス氏は、信頼を再建するためには変革が必要であり、国際金融システムが気候行動を支援する方向に向かわなければならないと発言。
11月に開催される国連気候変動会議(COP28)に向けて、温暖化対策の取り組みを加速させるよう各国リーダーに求めた。
グテーレス氏はこれまで何度も、強い言葉や表現で気候変動対策を求めてきた。
2022年には、人類は「気候変動地獄へと向かう高速道路を、アクセルを踏んだまま走っている」と表現。
気候変動は、世界各地に多くの犠牲や被害をもたらしている。
アメリカでは2023年、10億ドル以上の被害を被った災害が8月時点で23件発生している。
また、リビアを襲った洪水では数千人が死亡し、ユニセフ(国連児童基金)は8月に南アジアの子どもたちの76%が、極度の高温にさらされていると発表した。
11月のCOP28はアラブ首長国連邦とドバイで開催され、アブダビ国営石油会社のCEOであるスルターン・ビン・アフマド・アール・ジャーベル氏が議長を務める。
このCOP28では、2015年に採択されたパリ協定で掲げた目標を、世界各国がどの程度達成できたかを国際的に評価する「グローバル・ストックテイク」が初めて実施される。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。