カップルなどで賑わうクリスマスイブの12月24日、東京・渋谷で「非モテ(モテないこと)」を自称する人々が集まり、「クリスマス粉砕!」などと叫びながらデモ行進した。
この「クリスマス粉砕デモ」は、恋愛資本主義への反対を掲げる革命的非モテ同盟(革非同)が主催。2006年からほぼ毎年クリスマスの時期に実施し、今年で10回目を迎えた。同団体は「モテない人の明るい未来を築き上げるべく、非モテ同士の連帯を」と提唱している。
デモ隊は午後2時ごろ、代々木公園を出発。約30分にわたって20人(主催者発表)ほどの参加者がデモ行進した。
「カップルはー自己批判せよー!」
「リア充はー爆発しろー!」
「非モテの人権蹂躙を許さないぞー!」
「クリスマス労働者を解放せよー!」
「モテなくて、何が悪いんだー!」
こうしたシュプレヒコールを叫びつつ、デモ参加者は渋谷の街を練り歩いた。また、「電通もリクルートも、非モテの敵だ!」「はあちゅうも非モテの敵だ!」と、広告代理店などへの批判を訴えた。
非モテたちの叫びを聞いた沿道の人たちからは「いいぞー!」「何あの人たち?」といった声が聞こえた。中にはスマホやタブレットでデモの様子を撮影する人もいた。
今回のデモにあたって、革非同の革命評議会議長マーク・ウォーター氏(42)は「今年、ピースボートで船旅での世界一周に出かけた」「大変充実しておりました」と明かした上で、こう語った。
「しかし、モテない!乗客は1000人くらい。若者は300人くらい。船という特殊な空間に300名の若い男女が集まれば、それなりに親しくなる環境」
「船内では数十組のカップルが誕生しているという状況の中、船の中で好きになった女の子に振られてしまい、階級としての非モテ、階級としてのフラレタリアートに属するということを改めて感じた」
「非モテが受難の世界を生きていることを痛感した。船を降りてから、改めてクリスマス粉砕を通して、その苦難を訴えていきたいと考えている」
さらにマーク氏は、昨今のブラック企業問題についても言及。「クリスマスがあることで賃労働を強いられ、資本家側に搾取されているクリスマス労働者がたくさんいる。そういった方々を、デモで解放したい」と訴えた。
2015年の国勢調査では「生涯未婚率」(50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合)が過去最高(男性23.37%、女性14.06%)となった。
非モテの人が暮らしやすい世の中になってきたかは断定できないが、「結婚離れ」が進み、カップルや集団ではなく「ひとりで生きる」という選択肢が現実味を増してきた。「皆婚社会こそ異質」という声もある。
1990年創刊の情報誌「東京ウォーカー」も、12月に「おひとりさま専用Walker」を発売。「平成」という一時代を通して、日本人のレジャーの楽しみ方がシフトしてきたのかもしれない。
こうした社会状況について、マーク氏は「時代が追いついてきた...ということだと思います」と語る。
一方で、マーク氏は「ただ、その背景には資本主義が跋扈している」「資本家の陰謀で、クリスマスなどを楽しまなければいけないという圧力に負けないように。思い思いに過ごすということが大事」と釘を差した。
初めてデモに参加した50代男性は「クリスマスの労働者解放を訴えている点で、デモに強く賛同する。社会を変えるには、今回のデモのように行動することが大事だと思う」と話した。
デモ終了後、マーク氏は「今年もクリスマスは粉砕された」と明言。次回、バレンタインデーのデモ開催については「現時点では未定」と明言を避けた。
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