共謀罪法案成立が、議会制民主主義の崩壊だ、立憲主義の全否定だ、という声はあるが、そんなことはない。法律、国会法の定める範囲内で、自民が採決を行った。中間報告も、国会法に定められているし、過去にも22例あるという。
牛歩でなんとか遅らそうとする議員など、徹底抗戦する議員には本当に頭が下がる思いだが、正直に申し上げると、ここまで来るともはや負け試合だった。
問題とすべきは、この負け試合を誰が作ったのか、である。
僕ら、国民だろう。
自民に投票し、彼らを認め、自由に闊歩させているのは僕ら国民なのだ。
集団的自衛権を認める新安保法制のときも、特定秘密保護法のときもそうだった。
本当に反対で、自民の暴挙だ!と思うなら選挙で怒りを示せば良い。
しかし、そうならないのだから、本当の意味では怒っていないのだろう。
共謀罪法も、おかしい!と思うなら、次の選挙で僕らはその意志を示し、政権交代を行い、民進党に廃案をやってもらうまで持ってゆくのだ。
全く賛同できないが、アメリカでは政権交代後、新大統領が前任大統領の法案"Obama Care"を廃止した。(本当に最悪の決定だ)
民主的なプロセスを経れば、法律も廃止できるのである。
共謀罪は、東京オリンピックに向けたテロ防止を旗印にしているが、その実は権力強化を図るためであるという、"便乗商法"である。
本気でテロ防止を強化するなら、イギリス、ドイツで行われているように街中での金属探知スキャナーの設置、テロ特別警備員のトレーニングと増強、サイバーアタックに対抗する専門家チームの組織など、もっと「地べたレベル」でのプログラムを組むべきである。本気で国際テロに対抗する実践的なプログラムを組織してゆく政策を打ち出せば良い。政府と地方自治体の政策レベルの話であり、新たな法律は必要ないのである。
なので、多くの識者が語るとおり、「テロ等準備罪法」の本質は、気に入らない人間を弾圧できるようにする権力強化のツールもくっつけてしまおうという、権力の傲慢にほかならない。
といいつつも、この法案成立に対する怒りを、安倍政権に向けても仕方ない。この政権が、"美しい国ニッポン"といいつつ、憲法を変えて戦争のできる国にしようとしている、その為の権力強化のための法案を1つ、2つと少しずつ積み上げてきているのは、透け透けに見えている。そんな人たちなのだ。僕らはとっくの昔から知っている。
それでも自分は関係ない、と思う人が多いのだろう。
だから、日本は安倍晋三による超安定政権がつづく。
政治に対する怒りをどこに向けるのか。
テレビや新聞を見ながら、「アイツはけしからん」と愚痴って、文句言いを続けるのは簡単である。
僕はむしろ、この人なら尊敬できる、この人の志と人格なら信頼して、一緒に話してゆきたい、という、「丸投げ」ではなく、あくまで共同作業者・コラボレーターとして付き合ってゆける《政治家》を、この日本でどうやったら増やしてゆけるのか、を考えた方が良いと思う。
それは、SEALDsの後を継いだReDEMOSや、様々なグループが、与党と対抗する"対案"を考え、本気で政権交代と、そのときのための準備を、時間をたっぷりかけて進めている。日本ではまだ数少ない政策のシンクタンク、ブレーン集団が少しずつ増えてきている。
例えば、彼らが市民権を得てマジで政権交代を行えるように、今こそ応援するのがいいのではないだろうか。
大きな視点に立って、負け試合の連敗記録を止めるには、どうすれば良いのか、僕らは本気で考えるべき地点に立っている。