1月25〜28日にかけて、ヨーロッパ最大級のバンド・デシネ(漫画)の祭典「アングレーム国際漫画祭」がフランス南西部・アングレームで開催されている。
「アングレーム国際映画祭2018のグランプリはリチャード・コーベン!過去の受賞作家団体によって審査され、2017年のグランプリであるコゼによって賞が手渡されました」
コーベン氏は3人残ったファイナリストのうち、フランスのエマニュエル・ギベール氏(代表作『フォトグラフ』)と、同じくアメリカのクリス・ウェア氏(代表作『世界一賢い子供、ジミー・コリガン』)を抑えてグランプリとなったかたちだ。
出席できなかったコーベン氏の代わりに、編集者が賞を受け取った。
リチャード・コーベン氏が漫画家としての活動をスタートさせたのは、アメリカの「Creepy」や「Vampirella」といった雑誌でのホラー漫画連載からだった。
1970年代になると、そのエアブラシを用いた独特の人体表現(幻想的・近未来的な世界に登場する筋骨隆々の肉体)によって、国際的な名声を得ていく。
フランスを代表するSF・ホラー漫画雑誌「Métal Hurlant」の創刊者メビウスらが、コーベン氏のデッサンに注目し、同誌で彼の有名な『Den』シリーズの連載が開始。漫画界に絶大な影響を与えた雑誌によって、アメリカ以外の読者にも広く知られることとなった。
それまでアングラ漫画界の申し子だったコーベン氏は、その後「Marvel」「DC Comics」「Dark Horse」といったアメリカの大手出版社にも活動の幅を広げていく。そこでパニッシャー、ヘルボーイ、ハルク、パワーマン、バットマンといったアメコミヒーローを主人公とする、数多くの物語が生み出された。
またエドガー・アラン・ポーやH・P・ラヴクラフトといった、SFやホラーと親和性のある作家の作品の漫画化も手がけた。
その間、商売道具のアエブラシはペンにとってかわる。細かい点描の影と、禿げ上がった額をもつ人物で、独特のスタイルを確立していくことになる。
コーベン氏はすでに1976年、同漫画祭の外国人作家賞を受賞していたが、今回のグランプリをもって、77歳にしてキャリア全体が国際的な評価を得ることとなった。
また日本の漫画家としては、『RAVE』や『FAIRY TAIL』などの作品で知られる真島ヒロ氏(40)が、特別栄誉賞を受賞している。
ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。