アメリカの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏が長年に渡って女優らにセクハラや性暴力をしていたことが明るみになり、世界を揺るがす騒動になっている。
この波紋はファッション業界にも広がった。ファッションモデルのキャメロン・ラッセルさんは、Instagramを使って「#MyJobShouldNotIncludeAbuse(私の仕事に性的暴力は含まれるべきでない)」というハッシュタグを広め、さまざまなセクハラ被害の体験談を募り始めた。
ランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」の契約モデル(通称エンジェル)を務めたこともあるラッセルさんによると、多くの女優たちが告白したセクハラ被害は、ファッション業界においても珍しいものではないという。
ダイレクトメッセージに寄せられた体験談は、個人情報を伏せた上で10万人を超えるフォロワーを持つラッセルさんのInstagramアカウントに続々と投稿された。
ラッセルさんの呼びかけに共鳴し、声を上げたモデルもいる。
ヴィクトリアズ・シークレットで現役の"エンジェル"として活躍するサラ・サンパイオさんも、自身が受けたセクハラ被害を告発した。
サンパイオさんは10月19日、自身のInstagramを更新。"フランス版プレイボーイ"と評されるメンズ雑誌『Lui(ルイ)』に出演した際、ヌードにはならないとの合意があったにも関わらず、撮影現場でヌードになるよう執拗に迫られ、表紙にヌード写真を掲載されたと主張した。
サンパイオさんは声明で、「『ルイ』との契約書に"ヌードにはならない"という条項があったにも関わらず、撮影現場でヌードになるよう執拗に迫られました。なぜ乳首を見せず、フルヌードにならないのか聞かれました」とつづり、ヌードになるよう圧力をかけられたと明かしている。
撮影後には、誌面に掲載する写真を選ぶ段階で、露出させたくない体の一部が写っている写真を確認した。サンパイオさんはその写真を掲載しないよう求め、雑誌側も同意したという。しかし、サンパイオさんの意向に反して、ヌード写真が誌面に掲載された。
「『ルイ』は嘘をつき、私のヌード写真を表紙に掲載しました。これは明らかに契約違反です」
サンパイオさんによると、ヌード写真が掲載された号はすでに販売されており、『ルイ』に法的措置を取る手続きを進めているという。
これに限らず、撮影現場でヌードになるよう強要された経験は何度もあるという。サンパイオさんは「それが芸術表現であると考えられる場合は、安心してヌードになることができる」とつづる一方で、「過去にヌードになったから、どんな状況でもまたヌード写真を撮影できるというわけではない」と念を押した。
「モデルとして、そして女性として、私たちはともに立ち上がり、ふさわしい敬意を求めていく必要があります。私たちは自分の体、イメージ、人生について、自分自身で決めていく権利を持っています」
性の被害は長らく、深い沈黙の中に閉じ込められてきました。
セクハラ、レイプ、ナンパ。ちょっとした、"からかい"。オフィス、教室、家庭などで、苦しい思いをしても私たちは声を出せずにいました。
いま、世界中で「Me,too―私も傷ついた」という言葉とともに、被害者が声を上げ始める動きが生まれてきています。
ハフポスト日本版も「Break the Silence―声を上げよう」というプロジェクトを立ち上げ、こうした動きを記事で紹介するほか、みなさんの体験や思いを募集します。もちろん匿名でもかまいません。
一つ一つの声を、確かな変化につなげていきたい。
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