「私は性的嗜好で人を差別しない」バレット氏が同性婚について聞かれ発言、LGBTQ当事者らが反発

トランプ大統領が最高裁判事に指名したエイミー・コーニー・バレット氏が、公聴会で発言。性的マイノリティを侮辱する誤った表現だとして、批判が上がっています。
2日目の公聴会で話すエイミー・コーニー・バレット氏(2020年10月13日)、
2日目の公聴会で話すエイミー・コーニー・バレット氏(2020年10月13日)、
ASSOCIATED PRESS

「私は“性的嗜好”で人を差別しない」――トランプ大統領が最高裁判事に指名したエイミー・コーニー・バレット氏の発言が、LGBTQ当事者や権利支持者たちから強い反発を招いた。

バレット氏がこの発言をしたのは、10月13日に開かれた上院司法委員会の公聴会だ。

2日目となるこの公聴会で、バレット氏には人口妊娠中絶や健康保険制度、同性婚など、リベラル派と保守派で意見がわかれる様々な問題についての質問が投げかけられた。 

民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員はLGBTQの権利についての見解に触れ、「同性カップルの婚姻を憲法は認めていると考えるか」とバレット氏に尋ねた。 

ダイアン・ファインスタイン上院議員
ダイアン・ファインスタイン上院議員
DEMETRIUS FREEMAN via Getty Images

バレット氏は9月に、自身の“司法哲学”は2016年まで最高裁判事を務めた保守派のアントニン・スカリア氏に通じると語っている。

スカリア氏は、同性同士の婚姻を認めた2015年の歴史的な判決で、反対意見を表明した判事だ。

バレット氏は質問に直接答えず、「スカリア氏と同じ決定をすると推測すべきではない」と回答した。

これに対してファインスタイン議員は「これは、この国の大勢の人たちに影響を与えることだ」と強調。

「LGBTコミュニティが、闘い続けてようやく手に入れた自由と保護を後退させかねないスカリア判事の価値観に、あなたは共鳴してきました。私が聞きたいのは、あなたがこのことについて違う立場をとるという言葉、そしてこの自由に敬意を表するべきだという言葉です。あなたはそれを言っていません」と述べて、回答を促した。

このファインスタイン議員の言葉に対して、バレット氏は次のように答えた。

「はっきりしておきたいのは、私は性的嗜好で人を差別したことはないということ、そして性的嗜好で決して誰かを差別しないということです」

「人種差別と同じように、差別は嫌悪すべきものです」

発言は侮辱的で間違ったものだ。SNSに批判が投稿される

この発言に対し、ソーシャルメディアにはバレット氏の「性的嗜好」という言葉が、侮辱的で間違っているという指摘が次々と投稿された。

MSNBCの番組「ザ・ラスト・ワード」シニアプロデューサーのカイル・グリフィン氏は、「バレット氏が使った“性的嗜好”という言葉は、侮辱的で時代遅れな言葉です。この言葉はセクシュアリティが選択できるものであるかのような意味を持っています。それは間違っています」とツイートした。

ニューヨーク市のリッチー・トーレス市議会議員も、セクシュアリティに対するバレット氏の考え方は「過去の遺物」だと述べ、次のような批判を投稿した。

「ゲイ男性の私には“性的嗜好”はありません。“人種の好み”や”民族の好み”がないのと同じように。私にあるのはセクシュアルアイデンティティーです」

公聴会でも、民主党のメイジー・ヒロノ議員が、バレット氏の「性的嗜好」という言葉は間違っており、侮辱的だとバレット氏本人に伝えた。ヒロノ氏はこう述べている。

「性的嗜好は、侮辱的で時代遅れの言葉です。この言葉は反LGBTQの活動家らによって使われ、性的指向は選べるものという考えを示唆していますが、間違いです。性的指向は、人間のアイデンティティーの重要な一部なのです」

メイジー・ヒロノ議員
メイジー・ヒロノ議員
Samuel Corum via Getty Images

間違いを指摘されたバレット氏は「私は決してこの言葉をLGBTQコミュニティの人たちを、侮辱しようとして使ったわけではありません。もし私の言葉が侮辱であったのであれば、心からお詫びします」と謝罪した。

同性婚に反対する学校の理事をしていた

バレット氏はセクシュアリティで人を差別することは決してないと主張したが、同氏が2015~2017年に理事を務めた私立のキリスト教学校法人「トリニティスクール」は、同性婚に反対し、同性カップルに差別的な方針を導入していた。 

トリニティスクールの元スタッフ複数人はニューヨークタイムズに、トリニティスクールは2014年に、同性カップルの子どもの入学を事実上受け入れない方針を採用していたと明かしている。

バレット氏の最高裁判事指名に関わった人物は、バレット氏はこの方針作成には関わっていないと主張しているが、元スタッフらは、方針はバレット氏の在任期間中に実施されたと語る。

またPoliticoは、同校の卒業生の親から入手した2018~19年の「文化ステートメント」に「唯一正しい人間の性活動は結婚です。そして結婚は、法に認められた一人の男性と一人の女性によるものであるべきです」と書かれており、さらに「同性愛行為は聖書と相入れない行為」と説明されていたと報じている。

「トリニティスクールの広報は文言は2018~19年に変更されたと述べており、それはつまりバレット氏の理事在職期間に上記の文言が使われていたことを意味する」と、同メディアは指摘する。

バレット氏はトリニティスクールの理事を務めただけではなく、自分の子どもの何人かをこの学校に通わせていた。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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