パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸で9月6日、イスラエルの入植に抗議していたアメリカ国籍の若者が殺害された。
死亡したのはアメリカとトルコの国籍を持つ26歳のアイセヌル・エズギ・エイギさんだ。治療にあたった医師は、エイギさんは頭を撃たれて死亡したとしている。
オレゴン公共放送によると、エイギさんは米ワシントン州シアトル出身で、2024年6月にワシントン大学を卒業した。同大学の学長も「アイセヌルの家族や友人、愛する人たちに心からお悔やみを申し上げる」と追悼のメッセージを発表している。
AP通信によると、エイギさんはヨルダン川西岸ナブルス近郊のベイタで、イスラエルの入植地拡大に反対する抗議活動に参加していた。
6日の抗議活動には、パレスチナ人のほか、複数の国の活動家が参加していたという。
その一人であるイスラエル人のジョナサン・ポラックさんは「祈りを捧げていた抗議活動グループを取り囲んだイスラエル兵士に対してパレスチナ人が石を投げたところ、イスラエル兵が催涙ガスや実弾で応戦した」とAP通信に証言している。
その後、抗議活動グループは退却して衝突はおさまったものの、民家の屋根の上にいた2人のイスラエル兵士が発砲し、ポラックさんの後ろにいたエイギさんが倒れたという。
同じ抗議活動に参加していたマリアム・ダグさんも、屋上にイスラエル兵がいるのを目撃した後に2発の実弾が発射され、1発がエイギさんに命中したと証言している。
ダグさんは、「銃声はその兵士らの方向から聞こえた」と述べている。
エイギさんは9月3日にヨルダン川西岸に到着したばかりだったという。ダグさんは「この日、私たちは初めて一緒に現場に行きました。彼女はデモへの参加を強く望んでいたため、今朝とても喜んで興奮していました」と語った。
イスラエル国防軍(IDF)は兵士の発砲で外国人が死亡したことを認めており、「事件の詳細と女性が撃たれた状況を調査中だ」と声明で発表した。
また、発砲の経緯について「石を投げて暴力行為を扇動した首謀者に、イスラエル治安部隊が応戦した」と説明している。
アメリカ政府もエイギさんの死亡を確認したとしているが、イスラエル兵に射殺されたかどうかについては明確にしていない。
ホワイトハウス国家安全保障会議の報道官は「アメリカ市民のアイセヌル・エズギ・エイギさんがヨルダン川西岸で悲劇的な死を遂げたことに深く心を痛めている」「我々はイスラエル政府に対し、さらなる情報と事件の調査を要請した」と述べた。