台風2号などの影響で、西日本や東日本は6月2日から3日朝にかけて広い範囲で激しい雨となった。
3日午前8時半現在、関東甲信地方などでは洪水警報や土砂災害警戒情報が出ており、引き続き大雨による災害に注意しなければならない状態が続いている。
そんな中、Twitterでは「首都圏外郭放水路」がトレンド入り。洪水を防ぐためにつくられた「地下神殿」に注目が集まっている。
首都圏外郭放水路とは?「地下神殿」とも
首都圏外郭放水路とは、地底50mを流れる世界最大級の地下放水路で、洪水を防ぐために建設された。
中川、大落古利根川など中小河川が洪水になったとき、洪水の一部をゆとりのある江戸川へ流すことができる。
つまり、これらの川などから流れ込んだ洪水を江戸川に流すためにつくられた「地下の川」ということだ。
各河川から洪水を取り入れる「流入施設」と「立杭」、洪水を流す地下河川の「トンネル」、トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、緩やかな流れを確保する「調圧水槽」、さらに地下から洪水を排水する「排水機場」で構成される。
調圧水槽は、地下22メートルの位置にあり、長さは177メートル、幅78メートル、高さ18メートル。荘厳な雰囲気と、柱と空間の巨大さから「地下神殿」とも呼ばれている。
これまで何度も洪水被害を受けてきた地区
中川・綾瀬川の流域は、利根川や江戸川、荒川といった大きな河川に囲まれているが、このあたりの地域は土地が低く、水がたまりやすい「お皿」のような地形になっているため、これまで何度も洪水被害を受けてきた。
また、川の勾配が緩やかで、水が海まで流れにくいという特徴があるほか、都市化が進んだ影響で降った雨が地中に染み込みにくく、雨水が一気に川に流れ込んで洪水が発生しやすくなっているという。
首都圏外郭放水路が完成したことで、浸水家屋の戸数や面積が大幅に減るなど、中川・綾瀬川流域の浸水被害の軽減に大きな力を発揮している。
暫定的に稼働が始まった2002年以降、首都圏外郭放水路では140回の貯留があり、排水機場を78回稼働させ、中川流域の洪水を江戸川に排水した。