アマゾンが燃えている。
ブラジルの宇宙エージェンシーは、2019年だけで7万2000件以上の森林火災がアマゾンの熱帯雨林で発生し、地球で最後の生物多様性の避難場所の1つを危険に晒し、環境保護への資金削減を行った右翼のリーダー下にあるブラジルが気候変動と闘う能力を脅かしているとしている。
この破壊的なアマゾンの森林火災について知っておくべきこと、そしてこれがどう地球に影響するかをまとめた。
異常な数の火災が発生している
ブラジルの宇宙エージェンシー(INPE)によると、ブラジルのアマゾンでは8月21日時点で、2019年1月から7万5336件の森林火災が発生しているという。この数は2018年の件数を大幅に上回り、2017年の件数と比較すると85%も増加している。
エル・ニーニョの影響により、深刻な干ばつとなった2016年の同時期での火災件数、6万7790件も大幅に上回っている。
アマゾンは『地球の肺』とされている
アマゾンの熱帯雨林は、地球上で最も生物多様性が高いエリアの1つで、212万平方マイル(約549万km²)と広域に広がる。その為、ここは地球上で最大級の酸素供給場であり、二酸化炭素を吸収する重要な働きをしており、気候変動の影響を遅らせると謳われている。世界の森林は、毎年24億トンの二酸化炭素を吸収しており、アマゾンだけでもその約4分の1を吸収している。
しかし、2015年の調査によると、熱帯雨林のその能力は弱まっている。科学者たちは、たとえ森林火災や森林伐採を除いたとしても、アマゾンの森林は毎年急増的に大気中に放出される温暖化ガスの吸収には追いつかない、と警告している。
火災は事故ではない
INPEのアルベルト・セッザー氏はロイターに対し、乾燥が激しい年には火災は比較的よくある事だが、この数カ月に蔓延した火災に関しては、主に人間のせいだという。ブラジルの右翼派リーダー、ジャイール・ボルソナーロ大統領に勇気づけられた農業者たちが、違法に火災を起こし、家畜や農作のための土地を作っているのだ。ボルソナーロ大統領は、この破壊を阻止する努力を縮小したどころか、経済成長のために、保護された地区を開発の為に開放すると誓った。
「この地域での今年の気候やアマゾンでの雨量は、例年と比べて特に異常ということはありません。雨量は例年より少し少ないくらいです」とセッザー氏はロイターに話した。「乾季は火災を発生させるのに好ましい状態ですが、火をつけるのは、人間によって、意図的、もしくは事故的に行われるものです」
グローバル・フォレスト・ウォッチのマネージャー、ミカエラ・ワイス氏は、アマゾンでは自然な火災は非常に稀だとNew York Timesに話した。
「現在ここで起こっている全ての、もしくはほぼ全ての森林火災は人間によるものです」
宇宙からも火災が見える
ブラジルの乾季到来と共に、森林火災はこの2カ月で急激に拡大した。NASAの地球観測所は、アマゾン流域を包む煙の写真を発表。一時は悪化しすぎた煙霧が、日中のサンパウロの空を暗く覆った。
突然暗くなった空について多くの抗議の声が生まれ、ソーシャルメディアで拡散された。一部の住民は「世の終わりがきた」と言い、ハッシュタグ#prayforamazonia(アマゾンへ祈ろう)を始める人たちもいた。
環境保護団体は、この火災をブラジルの右翼派の大統領と関連付けている。
ボルソナーロ大統領は2019年1月に大統領になったばかりだが、環境保護政策の施行を撤回し、7月までにすでに1330スクエアマイル(約3444km²)の森林を失っている、とNew York Timesは報道した。
環境保護団体は、ブラジル政府の政策が、アマゾン破壊の原動力となっているという。
「前代未聞の火災がアマゾンを破壊している。これは世界的な悲劇で、気候のカオスへの危険な貢献だ」環境保護団体Amazon Watchのプログラム・ディレクター、クリスチャン・ポアリエ氏は声明で発表した。「この破壊は、ボルソナーロ大統領の反環境的な発言が直接関連している。彼は、森林保護や人権をブラジルの経済成長への妨害だとしている。農業者や牧場主は大統領の言葉を、強引に森林へ事業を拡大するための『罪に問われない放火の許可』として受け取っている」
逆にボルソナーロ大統領は、環境保護団体を非難している。Facebookの中継で、証拠がないにも関わらず、非政府団体が火災を起こしていると話した。ブラジル政府は最近、反環境の指針に合わせ、環境団体への資金削減を行った。
「もしかしたら、確かではないが、NGOの人たちが犯罪行為をして私やブラジル政府に注意を向けようとしているのではないだろうか」とFacebookで行われたライブ中継(AP通信による翻訳)で語った。「世界ではブラジルに対しての戦争が起こっている。情報の戦争だ」
ハフポストUS版の記事を翻訳、編集しました。