アルツハイマー病になった人が、周りに知って欲しい5つのこと

たとえあなたのことを忘れても、一緒にいるのはすごく大切

大切な人がアルツハイマー病だと診断されるのは、本当につらい経験です。そうなった時に、周りの人は何ができるのでしょうか。

イギリスのヘルスケア団体「Bupa」で認知症ケアのグローバルディレクターを務めるグラハム・ストークス氏は、30年に渡るキャリアを通して、アルツハイマー病の人たちから様々な話を聞いてきました。

「彼らは、自分の人格を失ってしまうのではないかということに、一番の恐怖を感じています」とストークス氏は言います。

ストークス氏にはアルツハイマー病の人たちと話して、心を動かされた5つの言葉があるそうです。その言葉を紹介してもらいながら、私たちに何ができるのか聞きました。

BUPA

1.「私は、これまでと同じ人間です」

アルツハイマー病になっても、物事に対する好き嫌いは変わりません。

アルツハイマー病の人にとって大切なのは、症状で判断されるのではなく、これまでと同じ人間として扱われることです。彼らは以前と同じようなユーモアのセンスや価値観を持った人であり、これまでと同じように扱われることを望んでいます。

アルツハイマーの症状が進むにつれて、行動が変わるでしょう。忘れやすくなったり、場合によってはよそよそしくなったりするかもしれません。だけど大切なのは『彼らを彼らにするもの』に目を向けること。

ジャズが好きな人だったら一緒に好きな曲を聞く、ガーデニングが好きな人だったら一緒に種まきをしてみるのもいいかもしれません。

2. 「アルツハイマーでも、豊かな人生を送れます」

身体的にも社会的にも、活動的でいることは、アルツハイマー病の人が幸せに生きるための重要なカギです。社会活動に携わることで、孤立したり沈み込んだりするのを防げます。

定期的な運動は、健康にいいだけではなく、良い眠りの助けにもなります。よく寝られれば、本人だけでなく周りの人もゆっくり休めるでしょう。

でも、無理強いしてはいけません。大切なのはこれまでと同じであること。もともと内向的な人には、社会活動は負担になるかもしれません。バランスを取るのが大切です。

3. 「何ができないかではなく、何ができるのかに目を向けて」

アルツハイマー病になると「何ができるか」ではなく「何ができないか」が注目されがちです。

これまで頼まれていた孫の世話を頼まれなくなったり、お茶を淹れるといった簡単なことしか頼まれなくなるかもしれません。でもそうすると、本人が無力になったように感じてしまうかもしれない。本人がそれを「まだできる」場合、なおさらそう感じるでしょう。

病気が進行するとできなくなることもあります。だけど、できることに注目して、できないことがあったら手を差し伸べてあげてください。

4. 「ちゃんとした人間関係を築けます。私とコミュニケーションを取るのをためらわないで」

アルツハイマー病の初期段階では、以前と同じようにコミュニケーションをとることができます。

症状が進むにつれて、コミュニケーションが難しくなりますが、感情や愛情は示せます。一緒に笑ったり、楽しい時間を過ごしたりできます。

気をつけて欲しいのは、会話をシンプルにすること。「今日は、外に行きたい? それとも家にいたい?」と聞くより、「外に行きたい?」と聞く方がいいですね。

5. 「誰かと一緒にいるのはすごく大切なことです。たとえ、私があなたのことを思い出さなくても」

病気の後期になると、あなたと会ったことや、あなたのことを忘れるかもしれません。それでも、一緒に時間を楽しむことはできます。

私たちは、生まれた時から他人との交流を求めます。アルツハイマー病になると、誰かと一緒にいたことそれ自体は忘れてしまうかもしれませんが、誰かと一緒に過ごしたことによって得られた感情は、一日中続くこともあります。

ハフポストUK版の記事を翻訳しました。