ニュージーランドの男子サッカー代表チームが、40年近く使用してきたチームのニックネーム「オールホワイツ」の変更を検討しているという。ニュージーランドの公共ラジオRNZなどが報じた。
RNZによると、同国のサッカーを統括する「ニュージーランドフットボール(NZF)」のアンドリュー・プラグネル最高責任者が、名称変更に関する声明を発表。
「ニュージーランドフットボールは、文化的なインクルーシビティ(誰も排除せず、すべての人を受け入れること)を追求し、ワイタンギ条約(イギリスの君主と先住民マオリとの間で1840年に締結された条約)の原則を尊重します」と伝えた。
さらに「どんな結果になるかを伝えるのは時期尚早だが、これはサッカーがアオテアロア(マオリ語でニュージーランド)で最もインクルーシブなスポーツになるための、重要な任務の一つだ」と述べており、マイノリティなどを排除しないような名称への変更を示唆した。
長年使われてきた名称変更への賛否両論
ニュージーランド男子サッカー代表がオールホワイツと呼ばれるようになったのは、同国が初出場した1982年ワールドカップで、全身白のユニフォームを着用したことがきっかけだった。
さらに、ニュージーランドのラグビーチームが「オールブラックス」と呼ばれていたことから、それと対になるような形でオールホワイツという名前が定着した。
長年使われてきた名称の変更には、賛否両論ある。
1982年のワールドカップで代表選手だったサム・マルコルムソン氏は、RNZの取材で「オールホワイツという名前は文化や人種にちなんでつけられたものではない」と指摘。その上で「歴史を投げ捨てるべきではない」と反対の意を表した。
一方、元ニュージーランド代表のライアン・ネルセン氏は「不愉快だと感じるのがほんのわずかな人たちであったとしても、私にとっては十分に変更する理由になる。長い歴史があるからといって、それが正しいとは限らない」と名称変更に賛成している。
同氏はさらに「間違っているとも限らないが、インクルーシビティを重視するべきだ。名前にはネガティブな意味合いが含まれるべきではない」とも述べている。
近年続くスポーツチームの名称変更
近年、ブラック・ライブズ・マター運動など社会全体で差別をなくす動きが強まる中、スポーツチームの名称変更が相次いでいる。
ニュージーランドでは2019年、ラグビーチームのクルセイダーズが、十字軍の騎士をイメージしたロゴから、マオリをテーマにしたロゴへの変更を発表した。
十字軍はイスラム教諸国と戦ったキリスト教諸国の遠征軍であることから、ロゴはイスラム教徒にとって否定的だという声があがっていた。
また、アメリカでは2020年に、アメリカンフットボール・リーグ(NFL)のワシントン・レッドスキンズが、「レッドスキンズ」という名称とロゴの使用を終了するとした。
さらに2021年には、メジャーリーグのクリーブランド・インディアンスが、ガーディアンズに名称を変更すると明らかにした。
どちらの名称も、アメリカ先住民に対して差別的だと批判を受けていた。