愛知県の大村秀章知事は4月9日に記者会見を開き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて県として独自の緊急事態宣言を10日午後に発令することを明らかにした。
合わせて、法律に基づく緊急事態宣言の対象地域に、すでに指定された7都府県に愛知県も加えるように政府に要望したことを明らかにした。
■国への要望とは別に、県として独自の緊急事態宣言を発令へ。
TBSニュースなどがYouTubeで中継した記者会見によると、大村知事は、新型コロナ対策として県として独自の「愛知県緊急事態宣言」を10日午後に発出することを発表した。県民に対して「不要不急の外出・移動の自粛」を求める一方で、「日常生活の維持に必要な事業活動は継続」するように求めるなどの7つの内容が柱になるという。
また、大村知事は自民党県議団などからの要望を考慮したとして、8日朝から政府の関係方面に対して「法律に基づく緊急事態宣言の対象地域に愛知県を指定していただくように要請し、昨日から調整に入っております」と明かした。
■愛知県知事と名古屋市長で温度差があった。
政府が7日に指定した緊急事態宣言の区域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県だった。ネット上では東海道新幹線の一部が名古屋駅を通過したときと同じ「名古屋飛ばし」という言葉が、Twitterでトレンド入りするなど話題になった。
愛知県が除外された理由について、西村康稔・経済再生相は同日の参院議院運営委員会で「感染者数は確かに多いが倍増するスピードは遅い。また、感染経路が分からない人の割合も比較的低く、今回指定しなくてもいいと判断した」と答弁していた。
日本最大の自動車メーカー「トヨタ」が本社を置くなど自動車産業が盛んな愛知県では経済へのダメージが予測されることから、緊急事態宣言の対象地域入りに慎重な声もある一方で、宣言下の東京と大阪からの人の流入を心配する声も出るなど県内世論は二分していた。
愛知県知事と名古屋市長でも意見が食い違った。NHKニュースによると、大村知事は7日の時点では「事態はだんだんと切迫しているが愛知が対象の地域にならないよう、県民には行動を自粛してもらいたい」として、対象地域入りには慎重な考えを示した。
その一方、県庁所在地である名古屋市の河村たかし市長は同日、「これを期に名古屋に人が流入してくることも考えられる」と述べ、東京都や大阪府などの対象地域から名古屋市に人が流入してくる可能性があると指摘し、速やかな対象地域入りを望んでいた。