アメリカの大人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」(America's Got Talent)で新しい才能が誕生した。準々決勝へのシード権が与えられる「ゴールデンブザー」を獲得したのは、わずか13歳の少女だった。
歌、ダンス、マジックなど、ジャンルにとらわれない様々なパフォーマンスで全米を虜にしてきた同番組シリーズは、数々のスターを発掘、輩出してきた。
先月からシーズン13の放送が開始したが、Audition Week3(6月12日)の放送回で会場を熱狂させたのはイングランド北東部の田舎町ダラムからやってきたコートニー・ハドウィン、13歳。
緊張した面持ちでステージに登場した彼女は、審査員の質問にもうつむきながら答える。
しかし曲がかかると様子が一変、ザ・キング・オブ・ソウル「オーティス・レディング」(Otis Redding)の「Hard To Handle」を迫力のある歌声で歌い始めた。
立ち振る舞いもまるで何かが憑依したように荒々しく堂々としており、その圧倒的なオーラに会場中はスタンディングオベーションに。
辛口な審査でおなじみの同番組の名物「鬼」審査員サイモン・コーウェル(Simon Philip Cowell)でさえも「はじめステージに出てきたときはキラキラした可愛らしい子だったけど歌い始めたらまるでライオンのようじゃないか、純粋に、信じがたい(ほど素晴らしい)」と賞賛した。
同じく審査員のホーウィー・マンデル(Howie Mandel)も「まるで全然違う時代から来たみたいだ。」と絶賛。コートニーを伝説のシンガー、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)のようだと称え、「私はジャニス・ジョプリンの大ファンで、ドキュメンタリーを観ていたらわかると思うがこんなエピソードがある。」「名プロデューサークライヴ・デイヴィス(Clive Davis)がモントレー・ポップ・フェスティバルに行った時、その1人の無名の若い女性と出会ったんだ。」「それが初めてジャニスが契約を結んだ時で、それが彼女の人生を変えたんだ、この話知ってる?」と問いかけた。
コートニーがイエスと答えると彼は続けて「私はホーウィー・マンデルでクライヴ・デイヴィスではないから君と契約は結べない」「私が君にできるのは...」
審査員と司会者5名には、1シーズンに1回だけ「ゴールデンブザー」を使用する権利が与えられている。ゴールデンブザーが押されたパフォーマーは、その場で準々決勝(生放送)への進出が確定する。
会場には金色の紙吹雪が舞い、舞台袖で見守っていた父親が駆け寄ってコートニーにハグをした。
放送後にコートニーは自身のツイッターで「アメリカズ・ゴット・タレントのオーディションで私は何を期待していたのかわからないけど、ゴールデンブザーは夢見る以上のものだった。本当にありがとう、ホーウィー・マンデル、とても幸せで、感謝しきれない。」と喜びをあらわした。