AIとロボットを活用したスマート農業パッケージを販売するAGRIST株式会社は、福岡市と福岡地域戦略推進協議会が運営する「福岡100ラボ」との共同事業を実施することを発表した。
「福岡100ラボ」は、人生100年時代を見据え、何歳でもチャレンジできる未来のまちをつくるプロジェクト「福岡100」を、産学官民オール福岡で推進していくための共創の場。「外出困難な重度障がい者等の就労や社会参加の実現」をテーマにした公募を行った結果、AGRISTの農業支援モデルに可能性を見出し、今回の共同事業へとつながった。
昨今、農業分野では慢性的な人手不足が深刻化している。一方、障がい者雇用においては、「適切な業務が少ない」「能力を発揮できる場が不足している」といった課題が企業調査でも明らかになっている(『月刊総務』2023年調査より)。AGRISTは、これらの課題を統合的に解決する方法として、リモート収穫技術に注目している。
リモート収穫作業の実証は、AGRISTが保有する鹿児島県東串良町の農場で行われる。重度障がい者や視覚・聴覚に制約がある方がロボット操作に対応できるよう、インターフェースを設計。操作性や作業効率を改善し、利用者の負担を軽減する支援機能を実装するなど、ユーザビリティを向上させる予定だ。
AGRISTの清水秀樹エンジニア統括最高責任者は、以下のようにコメントしている。
「AGRISTは、AI技術を『可能性を広げる力』と捉え、農業と障がい者雇用を結びつける『農福連携』にも活用していきたいと考えています。収穫ロボットのリモート操作により、自宅から農業に貢献し、収穫の喜びや達成感を得る体験を提供出来ると考えています。AI技術は、障がいの有無や身体的制約を超え、誰もが新しい働き方に挑戦し、社会とつながる機会を生み出せる可能性があります。AGRISTはこの挑戦を通じて、AIの可能性と感動を広げ、農業を超えた新たな社会モデルの実現を目指しています」
これまで就業機会が限られていた障がい者雇用の可能性を広げつつ、農業界における人手不足の解消を促す今回の取り組み。ロボットにより農作業の一部を効率化することで、地方農業の活性化や地域貢献にもつながると期待されている。
AGRIST株式会社
AGRISTは、テクノロジーで農業課題を解決し、100年先も続く持続可能な農業を実現するスタートアップ企業。 AIを搭載した自動収穫ロボットを活用したスマート農業を全国で展開している。 本社は、国の地方創生優良事例にも選出された、農業が盛んな宮崎県新富町にある。 2023年までに、農林水産大臣賞を含む国内外で20個以上の賞を受賞している。