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地を這うような漆黒の車体。まるで映画『バットマン』で主人公が操るバットモービルのような姿の自動車が誕生した。アフガニスタン史上初のスポーツカー「MADA 9」だ。首都カブールのデザイン会社「エントップ」が「afgan_supercar」のハッシュタグと共に写真や動画を掲載している。
■「悲惨なことで知られる国ですが、今、このような車が作られました」
アメリカの自動車メディア「THE DRIVE」によると、この自動車の名前は「MADA 9」。レーシングカーなどで使われるプッシュロッド式のサスペンションが搭載しているとした。
現地のニュースサイト「TOLOニュース」によると、この車両は、アフガニスタンの技術職業訓練機関で約30人のチームが5年かけて製作した。2022年12月29日の初雪の日にお披露目された。
TOLOニュースの記事中で、訓練機関の所長は「世界でも例のない車がアフガニスタンで作られたということは特筆すべきことです。戦争や紛争、悲惨なことで知られる国ですが、今、このような車が作られました。ユニークなデザインを持っており、頑丈で軽量です」と誇らしげに話した。
ただし、この話には補足すべき情報がある。TOLOニュースが公開したインタビュー動画の中で、所長は「エンジンはカローラの2000年モデルです」と明かした。
「主な目的は電気自動車にすることです」と、将来的にはエンジンを変更する考えを伝えている。現地ではカローラの中古車が非常に人気があり、2010年のワシントン・ポストの記事によると、首都カブールを走る車の90%はカローラだったという。
TOLOニュースの記事によると、この車を設計したエンジニアは「国内外から購入したいという問い合わせが来ていますが、正式なものではありません。私たちは、国際市場で競争するためにこの車を作ったので、適切なオファーが来ることを期待しています」と話している。車はまだプロトタイプの段階の上、完成していないが、アフガニスタンすべての州で展示される予定だという。
アフガニスタンは2021年8月以降、イスラム原理主義勢力「タリバン」の支配下にあるが、この自動車はタリバン公認のようだ。タリバン政権の広報官・ザビフラ・ムジャヒド氏は「アフガニスタン製の車」とキャプションをつけて「MADA 9」の動画をTwitterに投稿している。
この「MADA 9」は世界中のSNSで話題になった。「(スポーツカーメーカーの)マクラーレンがバットモービルの赤ちゃんを作ったように見える」と驚愕する声の一方で、「スポーツカーは高く評価されるべきだが、冬の数カ月はアフガニスタンの多くの人にとって困難と飢餓が待っている」と指摘する声もあった。