社会の中でうたわれている「男らしさ」や「女らしさ」は、少なからず広告ビジュアルに影響を受けているのではないでしょうか。
2018年1月にゲッティイメージズが発表したビジュアルトレンド「Creative in Focus(クリエイティブ・イン・フォーカス)」では、多様化するジェンダーに注目しています。過去数年に渡ってゲッティイメージズが発表しているビジュアルトレンドを振り返りながら、男性像と女性像の表現変化を考えてみたいと思います。
◎Female Rising(2013年)
2013年に発表した「Lean-In Collection(※)」をきっかけに、当社では女性ビジュアルの固定概念に対する挑戦を続けています。この背景にはリアルな現代の女性を表現したビジュアルを求めるお客様の需要があります。
現代の女性の頼もしさ、個性、自分の価値観を大切にしている様子など、現代女性の魅力を捉えた多様なイメージが求められるようになってきました 。
(※)Lean-In Collection:2013年より、女性のキャリアを支援するLeanIn.Orgと協力し、Lean-In Collectionを制作開始。本コレクションでは、性に対する固定概念にとらわれない男性と女性のビジュアルを集めています。
◎Genderblend(2015年)
2013年ごろから男女の役割の変化をビジュアル化したものが増え、2015年には、男性が家事や育児に携わるシーンや、女性が社会で活躍するシーンが広告で見られるようになりました。
また時代とともに揺らぐ、男らしさや女らしさを捉えたビジュアルも登場し始めました。このような変化を、ゲッティイメージズでは「Genderblend(ジェンダーブレンド)」というキーワードで表現しました。
「Genderblend」の発表後、「男性」のビジュアル表現に変化が起きました。中でも、2015年第49回スーパーボウル(全米フットボールリーグ(NFL)の優勝決定戦)のCMでは、家事や子育てに積極的に参加する男性(Dad)の姿に焦点を当てた広告(Advertising)、「Dadvertising(ダッドバタイジング)」が多く見られました。
◎Gritty Woman(2017年)
2017年には更に進化・多様化する女性像を捉えたビジュアルが評価されるようになりました。当社ではこのトレンドを「Gritty Woman(力強い女性)」と名付けました。ここで表現されているのは、自分がどのように見えるかよりも、自分が何をするべきかに価値観をおき、様々な障害や偏見にもめげず、目的に向かって挑戦する女性像です。
◎Masculinity Undone:脱・男性らしさ(2018年)
こうしたジェンダーに関する長期的トレンドは今、男性ビジュアルに新しい風を吹き込む形で進化し続けています。
男女の役割と変化する家族像、多様なジェンダーや、男性の弱さを許容する社会的空気に対応した、今の男性を捉えたビジュアルが、広告ビジュアルとしてやはり求められ始めています。
これまでの男性像と女性像の変遷を振り返って
広告表現で使用されてきたビジュアルは、時代を表す「社会の鏡」であると感じています。
そして、社会の鏡である広告で表現されている男性や女性の姿に幅があることによって、多様な人々が生きやすい社会を提供することに繋がると思っています。
様々な男性像や女性像を提供することが、社会全体の多様性に対する寛大さを後押しすると信じています。そして社会の寛大さによって、男性と女性の働き方改革が進むことを期待します。
ゲッティイメージズでは近年、現代のリアルな男性や女性像を捉えたコレクション「Lean In Collection」や「Lean In Men」を通じてジェンダーの捉えられ方に対する社会の変化を促しています。
ゲッティイメージズのフォトグラファーやエディターにおいても、改革を行っています。2月25日(日)に閉幕した平昌オリンピックでは、3名の女性スポーツ・フォトグラファーが活躍しました。
フォトグラファーやジャーナリストの世界では、まだまだ白人男性が大半を占めるのが現状ですが、私たちは多種多様な人が活躍できる機会を提供することを目指しています。ジェンダーに関する動きは、報道機関や、広告、コンテンツを提供する企業にも責任があると考えています。