アメリカ・イリノイ州で10月14日、親子が刺されて6歳の少年が死亡、母親が重傷を負った。
この事件で、71歳のジョセフ・チュバ容疑者が殺人や殺人未遂、ヘイトクライムなどの罪で逮捕・起訴された。
捜査から、チュバ容疑者はイスラム教徒に対する憎悪から親子を狙ったことがわかっている。
イスラム教徒への憎悪
この事件でイリノイ州プレーンフィールド在住のワデア・アル・フェイヨムさん(6)が亡くなり、母親のハナーン・シャヒンさん(32)が重傷を負った。チュバ容疑者は、一家が暮らす住居の家主だった。
地元当局は、容疑者はイスラム教徒であることと、ハマスとイスラエルの紛争を理由に被害者を襲ったことが捜査からわかったと説明している。
シャヒンさんは10回以上刺されて重傷を負ったものの、病院で治療を受けて回復に向かっているという。
アメリカ・イスラム関係評議会(CAIR)によると亡くなったワデアさんは、2週間前に誕生日を迎えたばかりだった。
CAIRシカゴオフィスのエグゼクティブディレクター、アフマド・リハブさんはワデアさんについて「すべてを愛する6歳だった」と15日に開かれた記者会見で述べた。
「すべての人を愛し、おもちゃ、バスケットボールやサッカーなどのあらゆる球技、色塗り、駆け回ることが好きでした。両親や家族、友達を愛していました。世界の大きな問題について何も知りませんでしたが、その代償を支払わされました」
CAIRによると、ワデアさんの母親は12年前、父親は9年前にヨルダン川西岸からアメリカに移住してきた。家族は2年前から、チュバ容疑者が所有する家の1階を借りて暮らしていた。
当局によると、チュバ容疑者は14日午前11時38分頃にワデアさんらの部屋を訪れ、ドアを開けた母親のシャヒンさんを窒息させ、刺そうとした。
CAIRに共有された入院中のシャヒンさんから夫へのメッセージによると、チュバ容疑者は「お前たちイスラム教徒は死ぬべきだ」と叫んで、12インチのミリタリーナイフでシャヒンさんに襲いかかった。
シャヒンさんはトイレに逃げ込んで警察に通報。トイレから出ると、チュバ容疑者がワデアさんをナイフで襲っていたという。シャヒンさんは夫に「すべてが数秒の間に起きた」と伝えたとされる。
当局によると、ワデアさんは26回刺されていた。ワデアさんらを刺したチュバ容疑者は、家の外で座っているところを発見され、その後身柄を拘束された。
バイデン大統領「ヘイトの居場所はない」
事件に対し、政治家らがイスラム嫌悪を批判する声明を出している。
バイデン大統領は「アメリカには、パレスチナのイスラム教徒家族に対するヘイト行為の居場所はない」と声明で強調した。
「私たちはアメリカ人として団結し、イスラム嫌悪やあらゆる形の偏見と憎悪を拒絶しなければなりません。これまで何度も伝えていますが、私は憎悪に沈黙することはありません」
イリノイ州のJ.B.プリツカー知事は「憎悪感情から6歳の子どもの命を奪う行為は、悪以外の何ものでもない」とXに投稿している。
「目を覚ました両親のそばに、もう我が子はいません。これは単なる殺人ではなくヘイトクライムです」
イリノイ州選出のデリア・ラミレス連邦下院議員は「イスラム嫌悪と憎しみの言葉が、不用意かつ軽率に溢れ出した結果だ」と声明で述べている。
「私たちは人類共通の人間性をなくさずに、悲しむことができます。私たちは、ありとあらゆる形の人間性の喪失や、責任転嫁、集団懲罰を拒否しなければなりません。ワデア・アル・フェイヨムさん、そして偏見のせいで危険にさらされているすべての子どもたちのために、私たちはすべてのイスラム憎悪と反ユダヤ主義に断固として立ち向かわなければなりません」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。