※2024年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:2024年1月17日)
私たちの多くは、年齢を重ねても健康で高い認知機能を保ちたいと願っているのではないでしょうか。
それを実現しているのが、「スーパーエイジャー」と呼ばれる、高い身体機能と認知機能を兼ね備えた高齢者たちです。
この言葉を生み出したアメリカ・ノースウェスタン大学は、スーパーエイジャーを「実年齢より少なくとも30歳若い人の記憶能力を持つ80歳以上の人々」と定義しています。
スーパーエイジャーたちは単に長寿なのではなく脳に大きな違いがあるといいます。
スーパーエイジャーたちの脳は、実年齢よりはるかに若い人々に似ていることが研究からわかっているほか、ノースウェスタン大学医学部付属病院のノースウェスタン・メディスンは、「スーパーエイジャーは同年齢の高齢者に比べて脳の容積の減少が少ない」と説明してます。
ノースウェスタン大学医学部メスラム認知神経学・アルツハイマー病センターのタマル・ゲフェン助教授は「スーパーエイジャーになるための秘訣は、少なくとも今のところわかっていません。生物学や環境、個人の主体性などが組み合わさった結果だと考えられます」と説明します。
南カリフォルニア大学のジェニファー・エイルシャー教授(老年学)も、スーパーエイジャーになるための特別な方法はないとしつつ、特定の資質を備えている人がいる可能性があるとも考えています。
エイルシャー教授らは、スーパーエイジャーを「85歳以上で、単に長生きなだけではなく、かなり高いレベルで身体的、認知的、心理的、社会的なウェルビーイングを維持している人」と考えており、生活習慣は人によって大きく異なると述べています。
「夜にビールを1杯(もしくは少しだけ)飲む人もいる一方で、お酒を飲まない人もいます。仕事を続けている人もいれば、引退して何年も経つ人もいます」
「共通するのは、ほとんどの人が社会に積極的に関わり、有意義な活動を続けているということでしょう。しかし、例外もあります」
スーパーエイジャーになるための「ロードマップ」は今のところないものの、ゲフェン助教授やエイルシャー教授は、高齢になっても認知機能や身体機能を高く保っている彼らから学べる習慣はあると言います。
専門家の2人に、私たちが日々の生活で取り入れられるスーパーエイジャーたちの習慣を聞きました。
1. 定期的に体を動かす
エイルシャー教授は、スーパーエイジャーの多くが日常的に体を動かしていることに注目しています。
「多くの研究から、日常的に体を動かすことが、長寿や健康的な加齢に関係していることが示されています」
「しかし、『運動』というとジム通いやランニングのイメージを持たれるので、私はこの言葉を使いません。ガーデニングや手作りの作業、家の周りの仕事などでも体を動かせます」
エイルシャー教授によると、大切なのは「座りっぱなしの行動を避けること」です。
「私たちのほとんどがパソコンを使う仕事をしているので、座りっぱなしを避けるのは少々難しいかもしれません。しかしスーパーエイジャーたちはとてもよく体を動かしますし、ずっとそういう生活を送ってきています」
2. 社会活動に参加する
エイルシャー教授によると、元気な高齢者たちは、友人や家族と時間を過ごす、ボランティア活動に参加する、職場で同僚と時間を過ごすなど、社会的活動に定期的に参加しています。
社会とのつながりが強い人は長生きし、身体的、精神的、認知的な健康状態も良好だとする研究結果もあります。
3. できる限りストレスを減らす
仕事やお金、医療、家族の問題など人生にはストレスがつきものです。しかし、不要なストレスをできる限り避けることが、健康な脳と体を保つための鍵となるようです。
エイルシャー教授は「スーパーエイジャーの一部は『他人のいざこざには巻き込まれず、なるべく怒りやストレスをを避けてきた』と言います」と話します。
「少なくともできる範囲でストレスを回避し、自らストレスを作り出さないようにしていたのが印象的でした」
4. 脳を刺激する
健康的に年齢を重ねるためには、認知面での刺激も重要なようです。エイルシャー教授は、いくつになっても新しいことを始められると強調します。
「新しい言語や楽器の演奏法を学ぶなど、認知的または精神的な面で新たな挑戦をするのに、歳をとり過ぎているということはありません」
ただし、新しい挑戦をするうえで重要なのは、知的刺激が得られるかどうかです。
ゲフェン助教授は、例えばクロスワードパズルに挑戦してパニックになるようであれば別のことをした方がいい、とアドバイスしています。
5. 自分が楽しいと感じることをする
さまざまな科学文献を調べ、当事者たちに話を聞いたエイルシャー教授は、スーパーエイジャーを「幸せや満足感を得られることをしている人々」と結論づけています
ゲフェン助教授も 「余裕があるどうかにもよりますが、自分が興味や関心を持っていて、楽しくやる気が起き、ストレスを感じさせないような活動をするのが良いでしょう」と勧めています。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。