オーストラリア・タスマニア島で9月21日、約270頭のゴンドウクジラが座礁していることがわかった。
クジラたちが座礁していたのは、西海岸の街マッコーリーヘッズのビーチで、多くの人たちが救助にあたっている。
ゴンドウクジラはマイルカ科のクジラで、大きいものでは7メートル体重1000キロにもなる。
座礁したクジラの調査をした政府の科学者たちによると、座礁したクジラのうちすでに3分の1が死んでいる。
救助活動は、トリアージ方式で行われる予定だ。22日に開いた記者会見で、救助隊員の一人は次のように語った。
「クジラたちは広範囲で座礁しており、救出が難しいエリアにいます。私たちはまず、生存確率が高そうなクジラ、救助できそうなクジラから始める予定です」
「まず何頭かを離礁させた後に、彼らの行動を観察します。沖に出てクジラたちが、自由に泳げるようになった時にどう反応するかを見て、救助方法を決めます」
タスマニア公園・野生生物管理局のニック・デカ氏によると、救助は慎重さを要するため数日かかると考えられている。
また警察や、養魚場で働く人、ボランティアなど約60人が救助に関わっているという。
状況に大きな変化がなく、海水に浸かっている状態であれば、クジラたちは数日間は生き延びるだろうと同局は考えている。
救助活動に参加している地元のヘリコプター操縦士デイヴ・パトン氏は、上空から見た状況を、ABCに次のように語る。
「クジラたちがストレスを感じていることがわかりました。ですから、クジラたちがいる場所への影響をできる限り少なくしたいと思っています」
パトン氏によると2つのグループが座礁しており、大きい方のグループはボートの進水路の近く、もう一つのグループはマッコーリーハーバーの奥に入り込んでいる。
タスマニア公園・野生生物管理局によると、タスマニア島では平均して2〜3週に1回、イルカやクジラの座礁報告がある。
「タスマニアでは座礁は珍しいことではありません。しかしこれほど大量の座礁は例がありません。少なくともここ10年は起きていません」とデカ氏は話す。
政府の科学者たちは最初、空中調査から座礁しているのは70頭ほどだと考えていた。しかし調査を進めた結果、もっと多くのクジラが座礁していることがわかったという。
タスマニア島で大量の座礁が最後に観察されたのは2009年だ。その時には200頭のクジラが海岸に打ち上げられた。また2018年には、ニュージーランドでゴンドウクジラがビーチに打ち上げられ、100頭以上が死んだ。
なぜクジラが大量に座礁するのか理由はわかっていない。しかし群れを作るクジラたちがリーダーに従って行動することや、怪我をしたり弱ったりしている仲間のクジラの周りに集まることは知られている。
グリフィス大学のクジラと気候調査プロジェクトのマネージャー、オラフ・メイネキー氏は「群れやグループ間の強い絆が原因で、群れ全体が座礁してしまうことがよくあります」と、ロイターに話す。
ハフポストオーストラリア版の記事を翻訳しました。