2021年6月15日の本日、SNS上では「天赦日(てんしゃび)」でかつ「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)」という吉日が重なっていると話題だ。どのような日なのか調べてみた。
■2021年は重なる日が3回あった。
「暦を知る事典 」(東京堂出版)では、天赦日と一粒万倍日について、以下のように書かれている。
<天赦日>
天が万物を養い、その罪を赦す日の意から、陰陽道で一年中の極上の吉日とする日。百神が天の上る日であるので禁忌するところがないという。
<一粒万倍日>
一般には、文字通り一粒の籾が一万倍になってかえってくるという意味で、仕事始め・開店・種蒔き・金貸しなどによい日であるが、借金や借り物など増えては困るものは当然ながら凶である。
Oggi.jpによると天赦日は年間に数日、一粒万倍日は約60日あるという。「令和3年神宮館高島暦」によると、2021年で天赦日と一粒万倍日が重なるのは、1月16日、3月31日、6月15日の3回だった。
■日本各地の神社が「迷っていたら一歩を踏み出しませんか?」などとツイート
6月15日に合わせて日本各地の神社が、天赦日と一粒万倍日が重なることをアピールした。
埼玉県秩父市の秩父今宮神社は「年に数回この『一粒万倍日』と『天赦日』が重なる日があり、何をするにも良い最上級の吉日と云われています」とツイートしている。
東京都大田区の新田神社は「新しいことを始めるのにふさわしい日と言われています。迷っていたら一歩を踏み出しませんか?」とツイートした。
■暦注とは?政府の規制で一時消滅。「お化け暦」が出回ったことも
『暦入門』(雄山閣出版)などによると、天赦日、一粒万倍日などの日々の吉凶を定めた内容は「暦注」と呼ばれている。もともとは中国の陰陽五行説などを元に、暦に記入された注記だった。江戸時代までは公式の暦にも記載され、人々の行動の指針として広く信じられていた。
それが変わったのは、明治6年(1873年)。太陰暦から太陽暦へ改める際に、太政官布告で「暦注は迷信である」として、政府は暦注を除外するように勧告した。こうして公式の暦からは、暦注がなくなった。
しかし、一般庶民の間では以前のように暦注のついた暦を望む声が多く、太陽暦に暦注を加えた「お化け暦」(おばけごよみ)が民間でゲリラ的に出版されるようになった。
こうして「お化け暦」という言い方もなくなり、それまでタブーだった暦注も、堂々と復活するようになった模様だ。