106-0。目を疑うような大差での勝利が物議を醸したアメリカ・カリフォルニア州の高校の校長が、相手チームや地域住民に謝罪した。
このワンサイドゲームを巡っては、相手チームからだけではなく、スポーツ関係者や統括団体からも批判が起きていた。
大差がついた時点でランニングクロックに同意しなかった
106-0で勝利したのは、ロサンゼルス郊外にあるイングルウッド高校のアメフトチームだ。
10月29日に開かれたモーニングサイド高校との試合で、圧倒的な点差をつけた。
しかしこの試合の後、モーニングサイド高校のブライアン・コリンズコーチがイングルウッド高校を批判。
コリンズ氏はロサンゼルスタイムズに、イングルウッド高校が早い段階での「ランニングクロック」に同意しなかったと明かし「愚かな行動だ」と述べた。
ランニングクロックとは、大差がついた時点から、時計を止めずに競技を続けられるルールだ。
カリフォルニア州高校連盟南部地区のルールでは、第3クォーターの終わりまでに35点差がついていればランニングクロックを使えると規定されている。また、両チームのコーチと審判の合意があれば、第3クォーターより早い段階で導入することも可能だ。
しかし、コリンズコーチによれば、審判が早い段階で「ランニングクロック」を申し入れたにも関わらず、イングルウッド高校側が同意しなかった。
第1クォーターが終わった時点で点差は59-0だったが、ランニングクロックが導入されたのは第2クォーターになってからだった。
また、イングルウッド高校のミルヴォン・ジェームスヘッドコーチが、チームのスター選手でUCLAへの進学が決まっているジャスティン・マーティン選手を、試合がほぼ決まった後も起用し続けたことも批判された。
マーティン選手は、この試合で13のタッチダウンパスを投げている。
校長が謝罪文を発表
一方的な展開を、他校のアメフト関係者も疑問視した。
テソロ高校アメフトチームのマット・ポストンコーチは、試合翌日に「我々は試合を通して、若者たちに生き方を教えるべきだ。しかし昨夜の試合から、どんなメッセージが伝えられるだろう」とTwitterに投稿している。
また、カリフォルニア州高校連盟南部地区も声明を発表。
「全ての運動競技は、徹底したスポーツマンシップに則って行われなければなりません。我々は、コーチ、選手、関係者、管理者そして生徒の皆さんに、信頼・敬意・責任・公平・思いやり・市民の6つの柱を忠実であることを求めます。106-0の試合はそれらの理想を表すものではありません」と、イングルウッド高校の対応を強く批判した。
両校が所属するイングルウッド統一学区も、今後同様のケースが起きないために、試合について調査するとしている。
こういった批判を、イングルウッド高校は重く受け止めているようだ。
同校のデビー・テート校長は11月1日に、モーニングサイド高校や地域住民に向けた謝罪文を発表し、「我々の行為はスポーツの精神と品位に欠けたものでした。最終的なスコアは受け入れられるものではありません」と述べた。
テート氏は「今後は学校側がコーチと協力して、スポーツの精神と品位を持って競技に取り組むようにする」ともつづっている。