転職情報サイト『エン転職』( http://employment.en-japan.com/ )上で、20代のユーザー855名を対象に「上司」についてアンケート調査を行いました。
■アンケート調査からわかったことは?
世代が変わると価値観や趣味・言語などのジェネレーションギャップが生じるもの。さまざまな世代の方が一緒に働く職場では、顕著にそのギャップが表れがちです。良かれと思って行っている指導法が、実はひんしゅくを買っている可能性も。今回は、指導をされる立場の方が多い1985年以降に生まれた20代に「上司」についての調査を行いました。
76%の方が、今までに尊敬する上司に出会ったことがあると回答。具体的に尊敬していたポイントを伺うと、女性は「いつでも相談できる雰囲気がある」こと、男性は「リーダーシップがある」ことが第1位となりました。また「目の前の仕事がうまくいかないとき」に上司を頼ることが一番多く、そのため自身がマネジメントをする際も「いつでも相談できる雰囲気」づくりを心掛けているようです。自分がなりたい理想の上司像を伺うと、様々なタイプに分かれたものの、昭和的な家族像や熱血指導を彷彿とさせるスタイルはあまり人気がないことが分かる結果となりました。
■調査結果をもっとくわしく...
1:上司を尊敬しているポイント、20代女性は「いつでも相談できる雰囲気がある」、20代男性は「リーダーシップがある」。(図1・図2)
20代の男女に「今までに尊敬する上司に出会ったことがありますか」と伺うと、76%の方が「ある」と答えました。そこで、「(出会ったことが)ある」と答えた方に「上司のどんな点を尊敬しています(ました)か」と質問をすると、20代の第1位は同率で「いつでも相談できる雰囲気がある」「リーダーシップがある」(33%)となりました。本結果を男女別で検証すると、異なる結果が見えてきました。20代男性・20代女性それぞれのBEST3は下記の通りです。
20代男性
第1位:リーダーシップがある(40%、20代女性:27%)
第2位:視野が広い(33%、同30%)
第3位:決断力がある(30%、同33%)/部下・後輩の面倒見が良い(男女ともに30%)
20代女性
第1位:いつでも相談できる雰囲気がある(36%、20代男性:28%)
第2位:人によって態度を変えない(34%、同26%)
第3位:決断力がある(33%、同30%)
しばしば「女性は感情的」「男性は理論的」とも言われますが、現在管理職として20代のメンバーをマネジメントしている方は、男女ごとの特性に留意した日々のコミュニケーションをお勧めします。実際に「上司にかけられた言葉・アドバイスの中で、特に印象に残っていること」を伺うと、男女それぞれの傾向を示すエピソードが寄せられました。
【20代男性】
◎「成功したらお前のおかげ、失敗したら上司のせい」と言ってもらったこと。
上司のために成功させたいという意識を持った。(26歳、男性)
◎自由にやっていい、責任はおれがとる。(27歳、男性)
◎自分がメンバーの一人だった時に、「君は何のリーダーか?」と問われたこと。
リーダーであるとかメンバーであるなどの立場や役割に関係なく、全ての人員が
自分の職務に対してリーダーシップを発揮すべきであることを教えられた。(28歳、男性)
◎失敗しても良いが無理はするな!(28歳、男性)
◎失敗するなら積極的にやって失敗しろ。そうすれば成長する。(28歳、男性)
◎自分の思うがままにやってみるといい。失敗しても、俺が尻をふいてやるから。(28歳、男性)
【20代女性】
◎会社に入ったってことは身内になったのも一緒だから、
困ったり悩んだりしたら遠慮無く相談してきていいからね。(22歳、女性)
◎私自身が忘れていた実績を覚えていて、オフのときや評価のときに話をしてくれた際、
「自分で忘れるくらい当たり前に、こんな良いことしてくれたんだね」と
ストレートに言われた言葉が、ずっと印象に残っています。(25歳、女性)
◎「大丈夫」という言葉を頻繁にかけてもらった。
実際に大丈夫ではなかった時にはサッと前に出てきてフォローをしてくれた。
その切り替えのタイミングがとても頼もしかったのを覚えています。(26歳、女性)
◎自身の置かれた環境の中で、最も重要だと思うことをやりなさい。
どんな選択をしても、支援者でいるから。(27歳、女性)
◎あなたに一緒のチームで働いてほしい。辛いことがあれば、私が全力で守る。
辛い思いはさせないから、ついてきてくれるかな。(28歳、女性)
◎職場の人間関係に悩んでいた時に、上司に相談した際、
「他人と過去は変えられないけど、自分と未来は変えられる。
人の期待に応えるのではなく、まず自分の気持ちに応えなさい」とアドバイスを頂きました。(29歳、女性)
2:20代が上司を頼りたい瞬間は「目の前の仕事がうまくいかないとき」。(図3・図4・図5)
「上司を頼るのは、どんな時ですか」という質問では、「目の前の仕事がうまくいかない時」(61%)が過半数を占めました。長期的な視点のキャリアに関する相談よりも、日々の短期的なトラブルに対して力になってほしいと思っているようです。実際、20代ですでにマネジメントを経験している方(20代全体の32%)に伺った「マネジメントをする上で、意識していた点はどんな点ですか」という質問でも、第1位は「いつでも相談できる雰囲気がある」(36%)でした。特に20代女性に顕著で、42%の方がマネジメントをする際に意識していたと回答しています。女性はマネジメントを受ける際も、行う際も、上司部下間の密なコミュニケーションを好むことがうかがえます。本項目も含めて、男女でポイント差が顕著な(性差間ギャップが大きい)項目ベスト3は、下記の通りです。
第1位:リーダーシップがある(20代男性:22%、20代女性8%)
第2位:いつでも相談できる雰囲気がある(同29%、同42%)
第3位:どんな時も感情的にならない(同16%、同26%)、評価が公平・公正である(同23%、同13%)
男性は「上司とはかくあるべき」という意識からリーダーシップの発揮や規律を、女性はその場の雰囲気作りなどの感情面を重んじているようです。
3:20代が目指したくない上司像は、昭和なスポ根タイプ。(図6)
日々上司からの指導を受けている20代の若手社会人は、自身が上司になった場合、どんなタイプになりたいと思っているのでしょうか。「理想は、どんな上司になりたいと思いますか」と伺うと、全9項目に対して、4項目(上位からムードメーカー、正義のヒーロー/ヒロイン、親友、学者タイプ)で7割を占める結果となりました。そのほかの項目はそれぞれ1割以下の得票で、あまり目指したくない上司像と言えそうです。
得票の少ない5項目は「背中で語る"父親"タイプ」(10%)、「教育視点を大事にする"先生"タイプ」(9%)、「危険を顧みない"切り込み隊長"タイプ」(5%)、「世話焼き"母親"タイプ」(4%)、「熱血!"体育会系"タイプ」(2%)です。5つに共通しているのは、自身の確固たる信念や想いを持って、相手にぶつけていく姿勢ではないでしょうか。昭和のスポーツ漫画や、青春学園物語、刑事ドラマなどで出てくる役のイメージです。若手社会人が目指したいと思っている上司像からは、親子の関わり方も変容を遂げている現代において、上司・部下の関係性も相手を尊重し、個々に合わせた対応が支持を受けているようです。
----各タイプの特徴----------------------------------------------------------------------------
◎いつも笑顔な"ムードメーカー"タイプ ー 職場の雰囲気を大事に、仕事のしやすい空気をつくる
◎実は"正義のヒーロー/ヒロイン"タイプ ー 普段は静かでも「いざ」という時に頼りになる
◎困ったときにはいつでも頼れる"親友タイプ" ー 部下と何でも率直に話せる関係性を築く
◎知的でスマートな"学者"タイプ ー 知識が豊富で、冷静に論理的に仕事を進める
◎背中で語る"父親"タイプ ー アレコレ指図せず、態度や姿勢で仕事を教える
◎教育視点を大事にする"先生"タイプ ー 部下の成長を何よりの喜びとし、育成に熱心
◎危険を顧みない"切り込み隊長"タイプ ー 部下よりも前線に出て、率先して自ら仕事をする
◎世話焼き"母親"タイプ ー 部下のことを放っておくことなく、あれこれと世話を焼く
◎熱血!"体育会系"タイプ ー 部下たちとの結束を大事に、全員で勝ちにこだわる
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【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:「エン転職( http://employment.en-japan.com/ )」を利用しているユーザー 855名
■調査期間: 2014年10月1日 ~ 2014年10月30日
▼プレスリリース ダウンロード 20141222_エン転職調査(上司について).pdf
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