人材紹介会社集合サイト『エン転職コンサルタント』( http://consultant.en-japan.com/ )上で、30歳以上のサイト利用者388名を対象に「カウンターオファー(退職引き止め交渉)」についてアンケート調査を行いました。
■アンケート調査からわかったことは?
各社の中途採用意欲が高まり、人材の取り合いが加速しています。企業の経営戦略実現にあたり、外部から新規に採用することはもちろんですが、自社からの人材流出を防ぐために、転職を考えている社員を引き止められるかどうかは大事なポイントです。今回は30歳以上の転職を検討している方々に「カウンターオファー」について、実態調査を実施しました。
調査に協力頂いた転職希望者の32%がカウンターオファーを受けたことがあると回答。実際に引き止め交渉で用いられた手法で最も多かったのは「昇給」の提示、次いで「特に条件なし(上司からの引き止め)」「他部署ヘの異動」の打診でした。その後、カウンターオファーをキッカケに転職先にいくのをやめたことがある方は24%と成功率はあまり高くないようです。またカウンタ―オファーを受けたことがない方の64%は、「待遇改善だけが転職の理由ではないから」「退職表明前から適正な評価をすべき」などの理由で、今後の転職時もカウンターオファーを受けたくないと回答しました。
■調査結果をもっとくわしく...
1:カウンターオファーが退職を思い留まらせる確率は24%。(図1・図2-a・図2-b・図3)
転職を決めた社員に対して引き止め交渉を行うことを指す「カウンターオファー」。耳慣れない方も多いかもしれませんが、人材獲得競争の激化が想定される中、必要に迫られる会社の増加が予想されます。そこで、30歳以上の転職を検討している方に「今まで、カウンターオファーを受けた事はありますか?」と質問をしました。32%の方が受けたことが「ある」と回答。その方々に、「カウンターオファーを受けて、次の転職先にいくのをやめたことがありますか?」と伺うと、「ある」という回答は24%となり、成功確率はあまり高くはないことが分かります。内訳を見ると、年代別では40代の30%、年収別では1000万円以上の35%がもっとも高いポイントとなりました。「なぜ、次の転職先にいくのをやめたのですか?」という質問では、第1位が「新たな事業に関われる」、第2位が「提示された昇給額が良い」という結果に。
2:カウンターオファー時の交渉内容は、昇給・熱心な引き止め・部署異動。(図4)
カウンターオファーを受けたことがある方に「どのような条件提示を受けましたか?」と伺ったところ、第1位は「昇給」(31%)、第2位「特に条件なし(上司からの引き止め)」(27%)、第3位「他部署への異動」(23%)でした。カウンターオファーによって、退職を思いとどまった方の理由から「昇給」などの待遇改善以上に、「新規事業」や「異動」のように仕事内容や任される責任の大きさの提案の方が響きやすいことが分かりましたが、実際の退職引き止め交渉の場面では待遇面の条件改善が重用されるようです。
カウンターオファーを受けた方に感想を伺うと、『引き留められ、会社にとって必要な人材だということを認識できて、気分的にうれしい気がした』『自分自身がこれまでおこなってきたことに、間違いは無かったと再確認出来た』など嬉しかったというコメントがある一方で、『昇給したのは得したが、新たなプロジェクトの約束は、その後途中で消滅し現在再度転職活動を開始している』『提示通りにはならなかったので、「やはりそういう会社だったか」と再認識しました。何の未練もなく辞めることができたのでかえって良かったのかも知れません』というように、退職の引き止め交渉時の約束は継続性がないことを指摘する声も上がっています。
3:転職時にカウンターオファーを受けたい人は36%。(図5-a、図5-b)
今までカウンターオファーを受けたことがない方に、「転職の際に、カウンターオファーを受けたいと思いますか?」と質問をしました。「はい」と回答した方は36%。内訳を見ると、年代別では30代の49%、年収別では499万円以下の47%がもっとも高いポイントとなりました。比較的年齢・年収の低い方ほど退職の引き止め交渉を期待しているようです。詳しいコメントでも、『転職理由が待遇改善』 『自分の市場価値を知りたい』という方ほど、カウンターオファーを望んでいることがうかがえます。反対に、「受けたくない」という方からは、『条件面の不満だけで転職を考えていない』 『退職表明する前から適正な評価をすべき』というコメントが出ていました。
【「(カウンターオファーを)受けたい」と回答した方のコメント】
◎自分の存在がどこまで必要なのかが知りたいから。(30歳・女性)
◎慣れ親しんだ業務、職場環境で待遇がアップされるのならば残留する可能性もある。(32歳・男性)
◎転職をする目的がネガティブなもの(給与、人事異動等)であれば、それを解消してくれるオファーをいただければ転職しなくてもすむため。(32歳・男性)
◎その時の転職活動の軸が「条件面の向上」であった場合に限り、比較対象となる。(37歳・男性)
◎退職する企業にとって、少なからず必要な人材だと感じる事が出来、また退職理由が金銭面等であれば、再考の余地がある為。(42歳・男性)
◎現在の処遇、評価に不満があり、転職を希望しているため、処遇・評価がアップするならば不満が解消される。(46歳・男性)
◎転職をしようとするのは、待遇面でより良い所に行きたいからなので、現在の慣れた職場で、昇給させてもらえるならその方が良いと思う。(54歳・男性)
【「(カウンターオファーを)受けたくない」と回答した方のコメント】
◎待遇の問題で転職を決意していないから。(34歳・男性)
◎金額で引きとめられると思われていて、軽く感じられるから。(35歳・男性)
◎一度辞める事を伝えた後なので、上司等の見方も変わるだろうし、そもそも辞めたいと思った理由は多少のオファーでは動かない事由だと思うので。(39歳・女性)
◎会社に残ったとして、転職のことを伝えた時点で、上司との今後の関係が悪くなりそうなので。(40歳・男性)
◎給与にも不満はあるが、真の退職理由は他にあるから。(42歳・男性)
◎現状の業務内容に魅力を感じていない場合、カウンターオファーの条件に魅力を感じるとは、考えづらいから。(42歳・男性)
◎カウンターオファーで引き止めるくらいなら、その話が出る前から昇給してほしいと思うから。(44歳・男性)
◎転職の話が無いと出さないオファーはいらない。出す気があるなら普段からやるべき。また、言ったら出すなら他の人も真似をするのでやるべきでない。(49歳・男性)
◎自社も含めて知人でカウンターオファーで残留をして、その後人間関係が悪化したり、上司が変わった事をきっかけに、条件が悪くなるケースを多々見てきた。(51歳・男性)
【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:「エン転職コンサルタント」利用者 388名
■調査期間:2014年8月1日~2014年8月31日
▼プレスリリース ダウンロード 20141118 転コン調査(カウンターオファー).pdf
【関連記事】