薄型ゲーミングノートBladeのRazerが、壮絶に頭のおかしい「世界初の電動トリプルディスプレイノート」 こと Project Valerieを公開しました。
「ヴァレリー」はRazer の大型ゲーミングノートBlade Proをベースに2枚のディスプレイを加え、17.3インチ4K IGZO液晶 x 3枚構成の12Kサラウンドディスプレイ搭載に魔改造した実験機。
3枚の4K IGZO液晶はマルチモニタ技術 NVIDIA SurroundとG-SYNCに対応しており、湾曲にあわせて左右に広がった視野でゲームが楽しめます。
12Kといっても超横長の48:9(5.33:1)なので、いわゆるスーパーハイビジョンの8K4Kには及ばないものの、画素数は11520 x 2160で2500万ピクセル以上。
3Dゲーム以外にも、普段からマルチモニタで作業するユーザー向けのプロダクティビティ用途、クリエイター向けも想定します。
Gallery: Razer Project Valerie トリプルディスプレイノート(試作機) | 7 Photos
絶大なインパクトのあるヴァレリーですが、マルチモニタノートPCは意外と古くから続くジャンルです。
デュアルまでならレノボThinkPad W700ds やオンキヨーDX (工人舎DZ)シリーズなどが市販されていたほか、モバイルとは言い難いものの3画面の一体化PCも例がないわけではありません。
しかしRazer が世界初を主張する理由は、トリプルモニタが電動で自動展開すること。通常のノートように開けば、メインモニタの後ろから左右のモニタがせり出すように開き、アルミのヒンジで自動的に正しい角度に固定します。
現状のヴァレリーはコンセプト実証のための実働試作機レベルで、厚みは約3.8cm。重さは最終的に4.5kgから5.5kg程度になる見込み。
冗談のような重さに思えますが、市販の17.3インチ画面ゲーミングノートは持ち歩き性能よりもデスクトップ置き換えとしての性能や熱設計、パーツ互換性などを重視するため、4kg台や厚さ3cm超はめずらしくありません。
むしろゲーミングノートであるにもかかわらず異様な薄さで喝采を浴びたBladeシリーズだからこそ企画されたコンセプトといえます。
(なお今年のCESで巨大ゲーミングノートとして話題を呼んだエイサーの Predator 21 X は、21インチ2560 x 1080 の21:9ワイドフルHDモニタ搭載、GTX 1080デュアルで約8.8kg。
もちろん、試作品と量産製品をそのまま比較はできません。またValerieが4Kトリプルのままゲーミングノートとして製品化されるならば、GTX 1080シングルでは描画性能が足りないため、諸元はさらに変わってくると思われます。)
Project Valerie の製品化は未定、仕様も価格も未定。Razer はプロトタイプの段階から公開して広くフィードバックを募り、今後の開発や商品化の可能性について検討します。
話題作り狙いの手の込んだワンオフ工作のようにも見えますが、出張先に複数台のノートやタブレットを持ち込んで並べて働いたり、USBモバイルモニタが出るたびに飛びついたり、普通のデスクトップモニタをモバイルと言い張ってはるばる輸送したあげく破損するような特殊ユーザーからの熱望が多ければ、いずれ本当に商品として買えるようになるかもしれません。
12Kはさておき、オーバーキル気味の解像度や画面サイズを落とすか、むしろ単体ハイエンドゲーミングは諦めて3画面モバイルオフィス志向にする、モニタをモジュラー化する、ゲーミングにはThunderbolt 3外付けGPUで対応する、などで妥当な3画面ノートになるならば即決購入する人は多そうです。
(2017年1月6日 Engadget日本版「4K×3枚で12Kのド変態3画面ノートProject Valerie降臨。46型サラウンドディスプレイが電動展開、Razer Blade Proベースの実験機」より転載)
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