アップルの A7 CPUなどが特許技術を侵害しているとして米ウィスコンシン大の特許管理団体 WARF が起こしていた訴訟で、アップルの敗訴が確定的となりました。裁判所は大学側の訴えを認め、現在アップルに課す賠償金額を決定するプロセスへと移っています。
ウィスコンシン大の特許管理団体 The Wisconsin Alumni Research Foundation(WARF)がアップルを相手に訴訟を起こしたのは2014年1月。アップルの A7 プロセッサーなどにウィスコンシン大が開発したスマートフォン用プロセッサーの効率を向上する技術の特許が利用されているというものでした。
これに対しアップルは A7 プロセッサーの技術は自社で取得した特許を利用したものと主張。WARF の訴えを全面的に否定し、米国特許商標庁に自社特許の正当性を再調査するよう申し立てました。
ところが特許商標庁がアップルの申請を却下。さらにその後発売された iPhone 6 などに搭載される A8 および A8X プロセッサーでも同様の特許侵害があるとされ、形勢はアップルの不利な状態となっていました。
そしてこの10月13日、裁判所は WARF の訴えを認める判断を下しました。これにより裁判はアップルが賠償する金額を審議するプロセスに移っています。ロイターなどが伝えるところでは、そのアップルに課せられる賠償額は最高で8億2000万ドルに達する模様。これは日本円にしておよそ1030億円にものぼる金額です。
巨額の賠償を抱えそうなアップルですが、実は多額の手元資金を持っていることでも知られます。ティム・クック体制になってその傾向は薄れたとはいえ、現在でも世界中に相当な規模の資金があるとされており、今回の賠償のせいでアップルの経営が苦境に立たされるといった心配はないと考えて良さそうです。
とはいえ WARF は先月、アップルに対して再び訴訟を起こしています。今度は iPhone 6s / 6s Plus /iPad Pro が搭載する A9 および A9X CPU に対する特許侵害を訴えるもので、アップルにとってはまだしばらくは険しい道が続くこととなりそうです。一連の訴訟について日本のアップルに問い合わせましたが、回答は得られませんでした。
ちなみに WARF は2008年にもインテルを相手に CPU の特許侵害訴訟を起こしたことがあります。しかし、インテルはこのときすぐさま示談交渉を行い、翌年になってWARF は訴えを取り下げています。
(2015年10月15日Engadget日本版「iPhone 6などのCPUが特許侵害と認定され、アップルの賠償額が1000億円を超える可能性。ウィスコンシン大が提訴」より転載)
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