早稲田大学と東芝などの研究グループは、ワイヤレス充電に対応した先進電動バス『WEB-3 Advanced』(WEB-3A)を開発したと発表しました。2月1日より川崎市と羽田空港周辺にて、同車両の公道を使った実証実験が開始されています。
同車両は、モーターのみを搭載する電気自動車(EV)。車両基地での充電頻度を増すことでバッテリーなどを小型化し、エネルギー使用効率を高める点をコンセプトとしています。ワイヤレス充電は、基地内での充電作業を簡略化するための導入。道路側に埋め込むタイプではありません。
『WEB-3 Advanced』は、早稲田大学が2002年から研究開発を続けている先進電動バスWEB(Waseda Electric Bus)シリーズの最新車両。リチウムイオンバッテリーの搭載量を最小限とし、バスターミナルに戻ってくるたびに充電を行う「短距離走行・高頻度充電コンセプト」を採用しているのが特徴です。
バッテリーの搭載量を小さくしたことで、重量と初期コストの削減、十分な車室空間の確保が実現できたとのこと。空車重量は5990kg、乗車定員は31名、航続距離は最大50km(公道走行・空調OFF時)などとなっています。
また、高頻度となる充電作業を短時間かつ安全に行うために、東芝が開発した磁界共鳴型ワイヤレス充電装置を搭載。電源コードを接続する必要なく、運転席からのボタン操作だけで充電が可能です。
今回の実証実験は、ワイヤレスの充電作業の利便性を検証し、さらにCO2やランニングコストの削減効果、乗車環境の改善効果などを評価することを目的としています。また、その成果を公開し、「ヒトにも地球にも優しいワイヤレス充電型電動バス」をPRすることで、認知度を高めることも狙いとします。
今回の公道実証試験は、川崎市殿町のキングスカイフロント地区と、羽田空港周辺の地域で、2016年度末まで実施される予定。近くを通れば、ワイヤレス充電対応のエコな電動バスを見かける機会があるかもしれません。
なお、EVでワイアレス(非接触)充電といえば、英国で計画中の「EV車が走ると充電が可能なレーン」を連想する読者も多いと思われます(下記記事参照、写真はその計画図)。こちらは任天堂のゲーム『F-ZERO』のフィーチャーが現実に!! という点でも話題になりました。
対して今回のワイアレス充電はあくまでも車両基地内の設置となり、充電作業の負荷軽減を狙ったもの。地味ではありますが、それだけに実用化には近いシステムです。
(2016年2月5日 Engadget日本版「ワイヤレス充電対応EVバスが公道を走る。早稲田大学のWEB-3 Advancedが川崎市と羽田空港周辺で実験走行を開始」より転載)
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