今週、一般向け商品の批評雑誌 Consumer Reports のウェブサイトが、これまで高スコアだったモデル S への評価を一転して引き下げた件に対し、テスラ CEO イーロン・マスクが反論しました。テスラはこの評価発表後、228ドルだった株価が一時的に202ドルまで下落しています。
Consumer Reports といえば1930年代から続く一般向け商品の批評雑誌(ウェブサイトも運営)。企業広告を掲載せず、公平性を維持するため広告やPR記事を掲載しないポリシーを掲げており、毎年発行される自動車特集におけるランキングは米国の自動車販売に大きな影響を与えるとされます。
テスラ モデル S は毎年春に発表されるランキングにおいて2年間、首位に君臨していました。また最新型の P85D においては100点満点のところをどう計算したのか103点というスコアを獲得するほどです。
ところが一転、最新の評価において テスラ モデル S は意外なほどの低評価に晒されました。Consumer Reports がテスラ Model S オーナー1400人への調査をもとに「平均的な車よりも悪い」と評価を下げたのは、「軋むサンルーフ」「飛び出すドアノブが飛び出さない」「巨大 iPad(センタータッチパネルのこと)の不具合」といったトラブルの数々。
突然の低評価に市場が反応し、株価急落の事態を受けたテスラは、顧客から得た問題に対しソフト面では OTA アップデートで修理工場へ出向くことすら不要な不具合解決を提供していること、ハードウェアの問題にも最新仕様へのパーツ交換などで迅速に対処していることをコメント。顧客からは常に称賛の言葉を得ているとしました。
また、一般からは「確かに加速は速いが日産・マキシマやホンダ・アコードほど乗り心地は良くないし、もう数回バッテリーパックやドライブ・ユニットを交換した」とするコメントがある一方で、「調査対象が偏っているのではないか」といった Consumer Reports の不自然さを指摘する意見が出ています。
そんな状況にようやく反応したのが宇宙ロケット開発やクリーンエナジー生産を指揮しつつ、社員の解雇にも忙しい超人起業家にしてテスラ CEO のイーロン・マスク。
イーロン・マスクは、Consumer Reports の評価が初期仕様のモデル S を対象としたものが多いことを指摘。どんな自動車であれ、新型車の初期モデルには不具合がつきものであることを示唆しつつ、取り上げられた問題は新車では取り除かれているとしています。さらに Condumer Reports においてサービスの項目が他のあらゆるメーカーよりも高評価を得ており、他社製自動車のオーナーの97%が「次に買いたい車」にテスラをあげているとツイートしました。
実際のところ、テスラが提供するメーカー保証は4年間または5万マイル(約8万km)までの一般保証に加え、8年間/走行距離無制限の延長保証という、一般的な自動車メーカーよりも手厚いもの(日本では延長保証のほうを標準として提供)。2012年にデビューしたモデル S はいまだ一般保証期間すら終わっておらず、ほとんどのオーナーは問題が発生しても無償で修理を受けています。
なお、記事執筆時点で テスラ モーターズ の株価は212ドル前後で推移しており、下落前の水準には戻せていません。
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(2015年10月23日「Engadget日本版」より転載)