世界の珊瑚礁、99%が今世紀中に消失するとの研究結果。水温上昇を止めるカギは...?

現在の状態のまま今後海水温の上昇が収まらなければ、2050年台半ばまでは世界中の珊瑚礁の50%が失われるとのこと。

2016年、オーストラリアの有名な珊瑚礁グレート・バリア・リーフでは史上最悪とも言われるの大規模な白化現象が発生、影響は全体の90%におよび、67%が死滅したとされます。その原因は言うまでもなく海水の温度上昇。

オーストラリア政府の調査機関と研究者らのチームは、現在のまま気候変動による水温上昇が続けば、全世界にある珊瑚礁の99%が今世紀中に消失する可能性があるという調査結果を発表しました。

珊瑚礁はただ、珊瑚が生息して形成されているわけではなく、その中に大きな一つの生態系を構築しています。しかし、周囲の海水温が一定以上に上がってしまうと、珊瑚と共生関係にある藻の仲間、褐虫藻の光合成能力が失われ、珊瑚自身によって海中に放出されてしまいます。

それでも珊瑚が生きている約1~2週間程度で水温が平常状態に戻れば、再び褐虫藻を得て元の姿に戻ることもできなくはないものの、2016年のオーストラリア周辺は温暖化の影響で水温が上がりっぱなしとなってしまい、白化したまま元に戻らなくなった珊瑚が多く見られました。

研究報告によると、現在の状態のまま今後海水温の上昇が収まらなければ、2050年台半ばまでは世界中の珊瑚礁の50%が失われるとのこと。そして珊瑚礁が消えてしまえば、そこに構築されてきた生態系に属する生物も多くが死に絶えるだろうとしています。

研究者らは、珊瑚礁の「回復力」を保つための管理体制構築が必要だと提案しています。それは言い換えれば気候変動のインパクトをいかに和らげるかということであり、現状はそれ以外に方法がありません。研究では2015年のパリ協定が定めた「産業革命以前からの世界の平均気温上昇を+2℃未満にする。さらに努力目標を+1.5℃未満とする」という規定のうち、特に努力目標のほうを達成することが重要であるとしています。

論文はScientic Reports : Local-scale projections of coral reef futures and implications of the Paris Agreement : Ruben van Hooidonk, Jeffrey Maynard, Jerker Tamelander, Jamison Gove, Gabby Ahmadia, Laurie Raymundo, Gareth Williams, Scott F. Heron & Serge Planes

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