アップルのティム・クックCEOが、アップル本社にてApple Watchに血糖値を測定する装置を着用していたことが、海外ニュースサイトCNBCの報道で明らかになりました。先日もApple Watchの次期バージョンで血糖値モニター機能が導入される可能性が報じられましたが、いよいよ現実味を帯びてきたかたちです。
CNBCの情報筋によれば、クック氏はApple Watchに血糖値測定装置のプロトタイプを取り付けていたとのこと。これに先立つこと6年前、アップルは糖尿病治療のための非侵襲的(体を傷つけない)かつ継続的センサーの開発チームを組織したと報じられていました。Apple Watch登場のはるか以前から、アップルがこの分野に関心を抱いていたことがうかがえます。
クック氏は今年2月にグラスコー大学で名誉学位を取得した際も、トークセッションで「数週間、ずっと血糖値モニターを装着した」と語っています。もっとも「今回の旅行の前に外してきた」そうで、やはりアップルの秘密主義は健在でした。
大学での講演では、クック氏はアップルの健康事業へのコミットを再確認するとともに
「血糖をチェックするために、何度も身体に針を刺すことは精神的に苦痛です」
「何を食べているかについて(血糖値に及ぼす)知識があれば、すぐに症状の原因を知ることができ、糖尿病になる前に対策できるでしょう」
というふうに糖尿病治療への取り組みを語りました。クック氏はジム通いで30ポンド(約13.61kg)も減量しており、健康は会社のみならずプライベートな関心事でもあるようです。
今回の報道により、血糖値モニターがApple Watchに後付するスマートバンド(センサーやバッテリー等を内蔵したバンド)の形で製品化される説が、さらに信憑性を増した感があります。
この説は、クック氏がApple Watchを健康関連製品にしなかった理由を「FDA(アメリカ食品医薬品局)の承認を受ける手続きを受けることは望ましくない(製品開発サイクルが遅れるから)」と語ったこととも合致します。FDAの規制を受ける血糖値モニターを外付けにすれば、Apple Watch本体は規制を免れるということ。
うわさ通りに、体を傷つけない光センサーの血糖値測定バンドが実現すれば、米国だけで推定3000万人、全世界では4億2200万人(2016年WHO発表)もの糖尿病人口の治療に大きな影響を与えることは間違いないでしょう。一般のユーザーも食べ物を口にするたびに血糖値の上げ下げがリアルタイムで観察できるという、人類にとって未知の体験ができそうです。
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(2017年5月20日Engadget日本版「アップルのティム・クックCEO、Apple Watchで血糖値を測定していた姿が目撃される」より転載)