アップルの創業者の一人として知られるスティーブ・ウォズニアック氏が、「アップルはAndroid採用スマートフォンを投入すべき」と主張しています。米国で開催されたApps World North America conference で、Wired のインタビューに応じたなかでの発言です。
発言の要旨は:アップルは現行 iPhone のハイエンド / プレミアム路線だけでなく、新興国などでは需要の多い低価格帯スマートフォンの市場も取るべきである。そのために Android を採用しても、端末のデザインや仕上げなどで差別化でき戦えるだろう。(iOSの) プレミアムな iPhone と、比較的安価な Anroid スマートフォンの二つの市場に手を出さない理由ない、など。
アップルがウォズニアックの主張をまともに取り合うかどうかは無視して、単に可能かどうかでいえば、Android はオープンなOS のため、アップルがしようと思えば採用は可能です。
ただ仮にそうしたとして、iOS マップなどサービスでは Google との対決姿勢を鮮明にするアップルは、アマゾンが Kindle Fire でそうしたように、自社サービスを中心に Android を作り替えざるを得ないことになり、すでに膨大な労力を投入した自社OS の iOS がある以上、そこまでして導入する意義や効果は怪しくなってきます。
とはいえアップルは、OS 別の世界シェアでAndroid に大差を付けられる中、中国市場への参入やiPhone 5c のような比較的安価な端末の投入で巻き返しを図るも、5c は大ヒットしたとは言い難く、状況を大きく変えるには至っていません。
スティーブ・ジョブズとともに創業し、社員番号1番を持ち、かつては「ウォズの魔法使い」と言われるほどの知識と技術で多大な貢献を果たした人物による発言は、そんな古巣を思ってのものかもしれません。
なおウォズニアックはアップルがiPhone へ積極的に新機能を追加しないことについて、『もし自分が本当に素晴らしい物を持っているなら、それを変えたり台無しにしてはいけない。(...)実際のところ、人々は携帯電話を買うときに機能で選んではいない。アップルは(闇雲に機能を追加することに対して)「ノー」と言うことに優れていると思う』と述べ、支持を表明しています。
更新・追記
ウォズニアック氏が、Wired のインタビューについての aNewDomain.net の質問に対し、「あのインタビューで、アップルはAndroid を採用することもできる (Could) とは言ったが、すべき(Should)とは言っていない。またあれは個人的なアイデア。過去に多くの人が言ったアイデアでもあるが、自分はより注目を集めることになった。(...)経営判断を下すのは自分ではなくアップルの経営陣だ。」と回答しました。 質問者はウォズニアック氏の自伝 iWoz の著者 Gina Smith 氏。
また発言の真意については、「人々が考えるきっかけになるような、刺激的なアイデアをほのめかすのが目的。いわばコメディみたいなもので、言ったら面白いだろうなと思った。」と述べています。
との本人解説に応じて、見出しも「すべきである」から「する手もある」にややトーンダウンしておきます。
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(2014年2月10日Engadget日本版「主張:アップルはAndroidを採用する手もある (スティーブ・ウォズニアック談) (更新:本人釈明)」より転載)