以下は、2014年3月11日に個人ブログに投稿した記事「STAP細胞論文撤回へ〜事実と過度な個人攻撃は分けるべき」を改変したものです。5ヶ月前のエントリーですが、あえて掲載したいと思います。
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STAP細胞の問題はいろいろ論点はありますが、ここで緊急に述べておきたいのが、過度な個人バッシングは絶対にやめるべきであるということです。
理研は(結果として)小保方博士(の女性としての部分)を全面に出した広報をしてしまいました。そのために、作文がさらされたり、過去の恋愛が暴かれたりしたわけですが、今後はそれが個人を叩き潰すバッシングに向かう可能性があり、危惧しています(作者注;実際危惧したとおりになりました)。すでにその徴候がみられています。
これが小保方博士や関係者を精神的に追い詰め、自死、自傷につながったり、あるいは関係者への襲撃につながったりしないことを、心より願います。
もちろん、データ捏造の批判や制裁は受けるべきであり、調査はきちんと行われるべきであり、かつ、罪は厳しく罰せられるべきであると思います。しかし、人生の制裁はうけるべきでありません。
まだ被害を受けている人はいません(追記:これは人の生命に関わる身体的な被害という意味で、捏造によって失われた研究費、実験動物の生命など、間接的な被害は生じていますし、検証に費やされた時間が浪費されたというのは問題だと思います)。薬のデータ捏造のほうが、その点で問題がはるかに大きいわけです。
50報以上の論文の不正に関わったと言われる加藤茂明元東大教授は、現在東日本大震災の復興支援に尽力されています。研究者として加藤元教授の責任は免れえません。知人がこの事件に巻き込まれているので、とくにそう思います。けれど、その罪は償うとして、新たな場所で社会に貢献していることは評価すべきだと思います。
小保方博士や関係者が別の道で生きていくことまで妨害されるべきではないと思います。
旧石器捏造事件を引き起こした藤村新一氏は、その後追い詰められ、「右人差し指・中指を自ら切断した」そうです(wikipediaより)。どの記事か忘れましたが、私が読んだ記事では、この指が悪いんだ、と言って、オノで指を切り落としたそうです。
罪を憎んで人を憎まずとは、使い古された言葉ですが、肝に銘じるべきだと思います。
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ここでは、自死と書きます。
公文書などで自殺を「自死」と言い換える自治体が相次いでいる。「『自殺』には命を粗末にした、という印象があり、残された者が一段と傷つく」との声が一部の遺族から上がっているためだ。ただ、支援団体などからは「イメージを和らげることになり、予防の観点からは良くない」との意見もあり、議論が続いている。|「自殺」→「自死」言い換え相次ぐ 自治体、遺族感情に配慮(日本経済新聞)
(自殺予防 メディア関係者のための手引き(2008年改訂版日本語版)に従い、これ以上は書きません。厚生労働省 自殺予防対策)
心よりご冥福をお祈りいたします。