高校スポーツをプロ化することは許されるのか

果たして学校教育という枠組みの中にある部活動が、学校経営のためにプロ化していくことは許されるのか。高校時代にスポーツに専念することを、私たちは許容すべきか。皆さんのご意見をお待ちしています。
Sean Justice via Getty Images

シドニーから3大会連続で五輪に出場した元陸上選手と、一緒に考え、議論を深めます。議論は週刊誌AERAの連載で紹介します。いただいたコメントを抜粋・要約することもありますがご了承ください。

高校野球や箱根駅伝など、日本中が注目する大会で優勝すれば、その学校名は翌日からメディアに広く露出されます。その効果はとても大きく、例えば甲子園レベルでは、広告効果数億円とも言われています。

 私が高校生だった20年前から、幾つかの高校では日本中から集めた優秀な選手を強化プログラムで育成し、学校のブランディングや広告で活用していました。今ではスポンサーもつき、メディア対応もあるなど、部活動のプロ化が起きつつあります。

 また強豪校では、選手は中学生の時にスカウトされ、在校中はほぼスポーツに専念します。学校には立派なトレーニング施設もあります。朝・昼・晩とトレーニングが続き、私が知る限りでは、授業中はほとんど寝ているチームもありました。

 このような環境は、選手も好きなスポーツを好きなだけやれますし、授業料免除などの待遇で親御さんも喜びます。また部活が強くなれば学校も有名になり、人気校になる。一見、みんながハッピーに見えますが、本当にそうでしょうか。

 私はいま、選手のセカンドキャリア問題を扱っていますが、スポーツだけをやってきたことを後悔する選手もいます。「早い時期に様々なことを経験していたら人生も違ったのに」と、彼らは言います。

 特に才能のある選手には、周囲がスポーツに専念させる環境を整えます。錦織選手のように上手くいったらよいのですが、スポーツを職業にできなかった人はその何百倍もいます。「スポーツに集中すれば人生は開ける」という考えは、少なくともセカンドキャリアの観点からは間違えているという意見を持たざるを得ません。

 果たして学校教育の枠組みの中にある部活動を、学校経営のためにプロ化することは許されるのでしょうか。そして高校時代にスポーツに専念することを、私達は許容すべきでしょうか。ご意見をお待ちしております。

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Twitter:@daijapan

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